◇コロナ禍で志願減に歯止め
長らく減少が続いてきた国公立大医学部(医学科)の志願者が、2021年度入試(21年4月入学)は底を打った。国公立大医学部の人気が回復した背景とともに、合格実績が高い学校や、合格者数を伸ばしている要因を探った。
コロナ禍で、厳しい医療現場のさまざまな情報に接した医学部志望者。その出願動向に注目が集まった21年度入試で、国公立大医学部の志願者が大きく減ることはなかった。駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長は言う。
「当初、コロナ禍で混乱した医療現場ですが、現在は対処法が分かってきています。そうした状況下で、新型コロナウイルスへの恐怖心より、医療従事者の頑張りから『自分もやってみたい』とプラスに捉える受験生もいたでしょう。経済状況の悪化で地方を中心に、就職への不安感から医学部志望者が増えていることもあり、医学部人気が戻ってきました」
国公立大医学部の志願者は、大学生の好調な就職状況を背景として減少が続いてきた。しかし、駿台予備学校調べで21年度の志願者は2万1883人。前年度を100とした指数は99の微減ながら、前期のみの集計は7年ぶりの増で、志願者減に歯止めがかかった。 人気が回復傾向にある21年度の国公立大医学部の合格状況を、高校別に見ていこう。国公立大医学部医学科への合格者数ランキングに注目すると、まず、合格者数が最も多かったのは、14年連続で1位となる東海(93人)。名古屋大(30人)と名古屋市立大(12人)の合格者数ランキングは、定位置となるトップだった。
◇久留米大付設は昨年の5位から浮上
2位は前年の合格者を25人上回り、5位から順位を上げた久留米大付設(90人)。進路指導部長教諭に合格者が大きく増えた要因について、聞いてみた。
「13年に中学を男女共学化し、入学時から医学部を志望する女子が増えてきたことが一因です。数学の教員が中心となり、英語や国語教員らとのチームワークで学力を引き上げたことも挙げられます。医学部志望者が多いことから、医学部受験が当たり前の環境にあり、一緒に頑張るという雰囲気が醸成された効果も大きいですね」
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