県立土浦一高(中澤斉校長 生徒数911人)の産学連携科学実験講座が3日、土浦市真鍋の同高科学実験室で行われた。電子顕微鏡の日本電子(本社・東京都昭島市)の理科支援チームが走査型電子顕微鏡(SEM)を持ち込んで指導。生徒たちは3時間にわたる講義と実習で「ミクロの世界」に没頭した。
日本電子CEOの栗原権右衛門会長が同高OBという縁で、実現した電子顕微鏡体験の機会。昨年予定されていたがコロナ禍で中止となり、2年越しの開催となった。定期テストの最終日午後に組まれた日程で希望者を募り、付属中学校の生徒13人と高校1年生19人、2年生1人が参加した。
栗原会長自ら来校し、「岸田内閣は科学技術立国をいうが、それを支えるは、人材と電子顕微鏡などの観測装置だ。こうした機会を増やし、若い人たちの間で進んでいるという理科離れに待ったをかけたい」と後輩たちの授業を見守った。
電子顕微鏡の構造や見え方についての講義を受けた後、生徒たちは顕微鏡写真を見比べるグループ、教室に持ち込まれた卓上型のSEMを操作して実地に観察するグループなどに分かれて、ミクロの世界を体験した。短い波長の電磁波で物体を観察する電子顕微鏡は単色の画像となるが、拡大・縮小したり、焦点深度を変えるだけで多彩な驚異の世界が展開する。
同高では生徒たちがチームを組んで行う探究学習活動があり、「マイクロプラスチック」を研究テーマにした1年生のチームは事前に霞ケ浦で採集した試料を濾紙(ろし)でこしとり、乾燥させて同社に送っていた。試料は検体となって実験室に持ち込まれた。
検体は1000倍に拡大すると様々な物体がクローズアップされるが、プラスチックかどうかは容易に特定できない。SEMは対象を限定すると、瞬時に元素分析まで行ってしまう装置で、生徒たちは表示を見ながら「炭素が多い」「どうも鉄みたいだ」と走査を繰り返し、画像をプリントアウトした。
高校1年の澤出愛美さんは「これがあやしいってところまでしかいけなかったが、とても貴重な体験ができた。今回のデータをもとに専門家の意見を聞いたりして成果をまとめていきたい」と語った。探究学習活動は来年3月に成果発表が予定されている。(相澤冬樹)
Powered by the Echo RSS Plugin by CodeRevolution.