◆「公立王国」の愛知において、2校に1校が“定員割れ”の衝撃
高校受験本番まで半年を切った今、志望校選びに余念がないという人も少なくないでしょう。「地元で評判のあの公立高校がよい」という人もいれば、「授業料は高いけど、私立高校も捨てがたい」という人もいます。
そんな中、公立高校が上位進学校の多数を占める「公立王国」として有名な愛知県で、今年度(2022年度に高校進学を目指す生徒)の中学校卒業見込者数6万9680人のうち、私立高校への進学希望者数は1万2806人であることが分かりました(「令和3年度中学校等卒業見込者の進路希望状況調査(2021年10月)」。
2016年の同調査では、中学校卒業見込者数7万2601人のうち、私立への進学希望者は9902人でした。5年前に比べ、中学校卒業見込者数が約3000人も減っているにもかかわらず、私立高校への進学希望者は約3000人も増えているということです。
つまり、この数年で公立高校離れが進んでいるということが分かります。
また2021年度入試(2021年度入学の生徒)の二次募集の状況によると、愛知県の公立高校の50.9%が定員割れを起こしていることが分かりました。定員割れとは、受験生が募集定員を下回っている状態。学科やコースなど何らかの形で募集定員を満たしていない高校があることを示しています。
愛知県の全日制公立高校159校のうち、2017年度入試で定員割れを起こしたのは36校だったのに対して、2021年度入試では81校へと倍増しています。
過去5年間の志願状況をまとめたのが上のグラフ。定員割れの高校の割合は22.6%から50.9%となり、二次募集の人数は550人から2676人へと4倍以上に増えているのです。
NHKの調べによると、この傾向は全国規模で起きていることが分かりました(「2019年4月 都道府県別 公立高校の定員割れ」)。全国の公立高校のうち約43%にあたる1437校の学科やコースにおいて、募集人員を下回る「定員割れ」となっていたのです。
中には、高知など9割以上の公立高校で定員割れが起こっている地域もある一方、東京は約10%と都市部になるにつれてその割合は低い傾向にありました。しかし、都市部の場合、割合が低くても生徒数や高校数が多いためその影響はむしろ小さくありません。
定員割れの問題は、少子化だから仕方がないと思われるかもしれませんが、それだけではありません。こうなった背景として考えられるいくつかの要因を見てみましょう。
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