<新渡戸の先生に聞く!>(第2回)「ゴミ問題」について | 学校法人 新渡戸文化中学校・高等学校 – nitobebunka.ed.jp

<新渡戸の先生に聞く!>(第2回)「ゴミ問題」について-|-学校法人-新渡戸文化中学校・高等学校-–-nitobebunkaed.jp 花のつくりとはたらき

こんにちは、NITOBE FUTURE PARTNER(NFP)*1の神薗です。

最近の気になるニュースや出来事に関して、SDGs観点から新渡戸文化学園の先生にインタビューする企画です。小学生や中学生の皆さんにも楽しんでもらえるようなお話をしてもらいます。





今回のテーマは「ゴミ問題」。お話を伺うのは中学で理科を教えている奥津憲人先生です!


神薗:奥津先生、こんにちは。先生は今、学校でどんなお仕事をされていますか?

奥津:こんにちは!現在、中学校の理科と高校1年生の生物を教えています。クロスカリキュラムでは、生物研究のチームを担当しています。それ以外にも、入試や広報を通じて、新渡戸文化中学校や高校の良さを知ってもらえるようなブランディングデザインチーム、ICTを活かした学びを推進するラーニングテクノロジーデザインチーフを担当しています。

神薗:奥津先生の仕事の幅広さには、いつも驚いています。ベンチャー企業の社員なみに何でもやってらっしゃるなと。奥津先生は生物がご専門教科ですが、研究されているテーマとかあるんでしょうか。





奥津:高校の時、部活動で野生動物について調査をしていました。様々な活動をする中で、生物と人の関りについて興味を持つようになり、動物人間関係学というコースのあった麻布大学獣医学部動物応用科学科へ進学しました。野生動物の研究室に入り、保全生態学を研究していました。ゴミの処分場跡地に戻ってきた動物が、条件のある環境下でどのように生活しているのかということを、フィールド調査などを行いながら研究していました。

神薗:大学時代の研究がベースにあって、今もクロスカリキュラムで生徒たちの研究サポートされているということなんですね。ちなみに、新渡戸文化学園との出会いは、どのような感じだったのでしょうか?

奥津:教員になってからも、ずっと問題が起きている現地に行くなど、フィールドでの研究活動を続けていました。その中で、今一緒に働いている山藤旅聞先生に出会って、意気投合したんですよね。で、ともに新渡戸文化学園の教育を創っていきたいと思い、教員として携わることになりました。

神薗:素敵な出会いですね。そして、そのお二人が今、新渡戸文化学園で未来の教育を創る大きな柱になってらっしゃって、感動しますね。

いよいよ本題に入っていきたいのですが、今地球温暖化が進み、気候変動にも大きく影響して、災害が世界中で頻発されている状況です。人類は、解決が困難な問題を抱えていると感じます。これまで人と生物の関係を研究をされている奥津先生はどう感じていらっしゃいますか?

奥津:大きな問題ではありますが、結局人間は「自分事」にならないと行動に起こせないと感じています。「自分事」になるためには、何かしらの具体的なショックが必要で。だからこそ、地道な活動が意味があると思っています。例えば、化石燃料の問題が現在ありますよね。スーパーのレジなどのごみ袋が有料化されて、今は2-3円ですけど、それが1枚5000円とかになったときに、みんな強く実感しますよね。「大変なことが起きている、資源は有限なんだ。」と。そういうことを感じるためにも、ローカルで地道な活動は意味があると思っています。また経済界では、国連サミットで採択されたSDGsも出てきて、環境と経済が両立しないと持続的な活動はできないと世界中が気付き始めていますし、だいぶお互いに認識が合うようになってきましたよね。そして、先日のノーベル物理学賞を受賞された真鍋淑郎氏の地球温暖化を予測する気候モデルの開発などもそうですが、研究や技術も進んでいます。人類の努力の成果も少しずつですが、形になってきています。お先真っ暗というわけではないと思っています。

神薗:そういったお話を伺えて、少しだけ明るい未来が見えてきました。奥津先生はゴミ処分場跡地の調査などもされていて、環境問題の原因の一つにもなっているゴミの問題についてはどうお考えですか?

奥津:ゴミの問題に関しては、「ゴミをゴミではなくしていく」という視点が大切だと思っています。例えば、先日あった東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の約5,000個のメダルを全国各地から集めたリサイクル金属で作るプロジェクトがありました。使われなくなった家電などから、金・銀・銅などをリサイクルして抽出し、作ったんですよね。表彰台も使用済みプラスチックを材料に3Dプリンタを活用して、製作されましたよね。多摩エリアでも清掃工場から排出される焼却残さをセメントの原料としてリサイクルする事業を行っていたりします。今、技術がかなり進化して、ゴミを資源とする動きが広がっています。経済とも両立させながら、ゴミ問題を解決することができると思っています。

神薗:ゴミは資源ととらえて、製品を作る時から資源化することを意識できれば、大きな転換になりそうですね!新渡戸文化学園で生徒たちとやっている取り組みについても教えていただいてよいでしょうか?

奥津:クロスカリキュラムで、生物研究チームの生徒たちとゴミ処分場の環境で、カヤネズミなどの野生動物がどう過ごしているのかを調査に行ったり、うずらの卵を孵化させるチャレンジなどもやっています。前述で紹介したリサイクルメダルづくりに関わっていた日本環境設計株式会社の岩本会長につながりを持て、生徒たちのアイディアを出して、良ければ取り入れてもらえるような活動も進んでいます。また、現地を知るということで「旅する学校」という企画でスタディツアーも実施しています。


様々な取り組みなどは案内していますが、生徒たちが本心から関心持ってもらわないといけないと思いますし、ビビッと来てくれた生徒たちがいたらフォローしながら動こうというスタンスでいます。「当事者」になってもらうためには、心を揺さぶられる経験が大事です。遠くから批判するということではなく、現地に行ってみて、当事者の人たちと様々な角度で対話して、自分視点で問題につなげていく、そうすると 「モヤモヤ」が生まれてくるんです。


その「モヤモヤ」は遠くから見ていたのでは、決して生まれない感情です。葛藤しながら、問題や課題にアプローチしていく生徒たちが、大人になったときにどう変わっていくのかが楽しみです。


生態学の話になると、極論「じゃあ、人間はいないほうがいいんじゃないの?」という観点も出てきたりするけれども、人間は地球上で他の生物たちと共存させてもらえるように、考え続けていくしかないわけなので。結論や明確な答えはないけど、何も考えずに漫然と生きるのではなく、考え続けて、行動することで、少しずつ変わっていくと思っています。教育の仕事に携わっているのも、自分だけで大きなことできないけど、自分自身が存在することで1人でも2人でも変わっていくなら、意味があるなと考えているからです。

神薗:最後に、新渡戸文化学園にチャレンジしたい!と思っている小学生・中学生へメッセージをお願いします。

奥津:まだまだ、小中学生だと社会の問題に関して、遠く感じる人もいるかもしれません。でも、どんなことでも本気になった時に、必ず壁にぶつかる機会が出てくると思います。それは、スポーツのことかもしれないし、ゲームのことかもしれないし、社会の問題のことかもしれません。一人の力では解決が難しいと思うことも、誰かの力を借りたり、誰かと力を合わせるとできたりすることがあります。新渡戸文化学園は、そういう力を合わせてくれる仲間や先生たちがいる場所です。皆さんとの出会いを楽しみにしています。

神薗:本日はお忙しい中、ありがとうございました!

*注1「NITOBE FUTURE PARTNER」とは?

https://nitobebunka.ac.jp/comprehensive/post-1786/


様々な分野の第一線で活躍する社会人が、副業人材として学校の教育活動に参画している。

*注2「SDGs」とは?

https://nitobebunka.ac.jp/about/sdgs/


持続可能な開発目標(SDGs)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。

17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。

SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。







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