AI教材「atama+」を手掛けるatama plusは7月21日に約50億円の資金調達を発表。教育テックベンチャーとしては異例の規模だ。稲田大輔CEOは「1000社が導入待ち。人が足りないことが最大の課題」と話す(撮影:梅谷秀司)
学習塾の授業風景が大きく変わりつつある。
教室に規則正しく座る生徒たちは全員、ひたすらiPadとにらめっこ。問題を解いたり、解説を読んだり、動画を見たりしている。教壇には講師はいない。黒板はあるが、きれいなままだ。
学習塾大手の駿台予備学校は2021年4月から、タブレットやパソコンで勉強できるAI(人工知能)教材「atama+(アタマプラス)」を導入した。AIが一人ひとりの学習でつまずく原因を特定し、その生徒専用のカリキュラムを作成するという教材だ。高校の数学、英語、物理、化学、生物のほか、中学校の英語、数学、理科、社会、今年からは小学校の算数も加わった。
例えば数学で「二次関数」の問題がうまく解けない場合、過去の学習履歴などから十分に理解できていない単元を洗い出し、そこに戻って解説を読んだり問題を解き直したりすることを促す。「入試範囲の習得まであと10時間」というように、生徒自身で学習の進捗度を確認することもできる。
足元では1000社が「導入待ち」
アタマプラスを使った学習は、ただ単に生徒が黙々と教材を進めるだけでなく、講師などがコーチングすることも特徴だ。指導者向けのアプリが提供されており、一人ひとりがいつどれくらい勉強したのか、単元をどれくらい理解しているかといったデータを得られる。これらを基にすれば、生徒にきめ細やかなアドバイスができる。
この教材を手掛けるのが、教育ベンチャーのatama plus(アタマプラス)だ。2017年4月に創業し、同7月から教材の提供を開始。駿台グループのほか、Z会グループ、城南進学研究社(城南予備校)など集団・個別問わずさまざまな塾で活用されており、2021年6月には導入教室数が2500を超えた。前年4月は1000教室だったため、1年で2倍以上となる急成長だ。
「足元では1000社が導入待ち」(稲田氏)と、事業は大繁忙。全国の塾から引っ張りだこになる理由は、その効果の高さにある。
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