がんはわずかな知識と行動で、運命が変わる病気です。がんで命を落とさないための秘訣(ひけつ)は「がんを知る」ことに尽きると言えるでしょう。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)など発症原因も分からず、根治的な治療法も存在しない「難病」もたくさんあります。その点、がんは生活習慣を整えることでリスクを大きく減らすことができますし、早期に発見すれば、9割以上が完治します。
しかし、国民はがんのことを知りません。日本は、男性の3人に2人が、女性でも2人に1人が生涯に何らかのがんに罹患(りかん)する世界有数の「がん大国」です。
内閣府が2009年に公表した「がん対策に関する世論調査」によると、がん予防のために実践している生活上の注意点のトップは「焦げた部分は避ける」(43・4%)で、「たばこは吸わない」(42・7%)を上回っています。
しかし、焦げを多く食べる人にがんができやすいという疫学データは存在しません。焦げから抽出した化学物質をネズミに大量に投与した結果、がんが増えたという実験データが大きく報道されたことから生まれた「迷信」です。
がんに限らず、日本人は健康や医療についての「リテラシー」(読み解く力)に欠けると指摘されています。健康を守るための理解や判断力を示す「ヘルスリテラシー」についての国際比較調査でも、…
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