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「今年度、授業で配ったプリントは2枚だけだった。必要な資料はGoogle Classroom上で生徒たちと共有してきた」。船橋市立飯山満(はさま)中学校で2年生の学年主任を務める辻史朗教諭は、担当する理科の授業における変化をこう振り返る。
同校は2021年3月、GIGAスクール構想による1人1台の端末体制を整備するため、全生徒にChromebookを導入。各教諭が担当教科に応じてChromebookを活用する授業に1年近く取り組んできた。辻教諭は定期試験にアンケート作成・管理ツールである「Googleフォーム」を使い採点の手間を5分の1程度に削減。忙しい教諭の業務効率向上にも役立てた。
Chromebookの導入で「授業のデザインが大きく変わった」(辻教諭)。従来の知識を習得する授業ではなく「生徒が考えて表現する」ことがメインの授業となった。50分の授業時間のうち、いわゆる「先生が生徒全員に向かって説明する」スタイルをとるのは最初の10分程度だ。授業のほとんどは与えられた課題に対し、生徒が個人またはグループで作業をしたり、その結果を共有したりする時間に充てる。
紙の資料を配布したのは年度最初の授業と、紙の方が取り組みやすいと判断した計算問題の2回のみだ。基本的にその日の授業で取り組む課題とそのためのワークシートなどの資料はGoogle Classroom上で共有している。辻教諭は「授業用のプリントを作り込むタイプだったこともあり、授業の準備時間は体感で3分の1ほどに減った」と話す。オンライン化したことで資料を印刷したり、手作業でアンケートを集計したりという手間がなくなった。これまでは1時間ごとに立てていた授業の計画も、最大で十数時間分まとめて立てられるようになったという。
辻教諭は2021年6月に実施した前期の中間試験と11月に実施した後期の中間試験において、中学2年生の理科の試験にGoogleフォームを導入した。授業のスタイルが変わったことで、定期試験の位置づけを変えた方がいいのではないかとの思いからだ。これまでは生徒の成績をつける際、定期試験の点数の比重が大きかった。だが「日ごろの頑張りも評価してあげたい。生徒が考え、判断して表現した結果は普段の授業の成果物で評価できるので、定期試験は知識の確認に絞ってよいのではないかと考えた」(辻教諭)。
定期試験は選択式と単語回答の記述式問題で構成。Googleフォームの問題を印刷した紙も同時に配布し、Chromebookと紙のどちらでも試験を受けられるようにした。初めてGoogleフォームを利用した前期中間試験はタイピングへの不安などから92人中11人の生徒が紙の試験を選択。2回目の後期中間試験は全生徒がChromebookで受験した。送信済みの回答を修正したいなどの希望があった際に、バックアップとして紙を使用したという。
Googleフォームの自動採点機能の活用により、採点にかかる時間は5分の1程度に減った。辻教諭は「Googleフォームと紙を両方用意するので、準備の手間はあまり変わらない。しかし、採点業務の軽減はその手間を上回る価値がある」と評価する。飯山満中学校では他にも国語や社会の試験の一部にGoogleフォームを導入し、同様に採点時間が短縮できているという。この成果を受け、同校では「校長を筆頭に、2021年度中に各教科一度は試験でGoogleフォームを活用してみようと呼びかけている」(辻教諭)。
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