2024年に本格導入を目指しているデジタル教科書って?普及率は? – 教育業界ニュース「ReseEd(リシード)」

基本問題
 GIGAスクール構想により多くの学校で1人1台端末環境が実現したことで、教育現場にデジタル教科書がいよいよ本格的に導入されようとしている。この記事では、デジタル教科書に関するこれまでの経緯や、公立学校における普及率等についてまとめている。

学習者用デジタル教科書は2024年度本格導入で検討が進められている


 学習者用デジタル教科書は、2019年4月に施行された「学校教育法等の一部を改正する法律」等関係法令により制度化。これまで使用されてきた紙の教科書を使用しながら、必要に応じて学習者用デジタル教科書を併用することができるようになった。2020年度から実施されている新学習指導要領を踏まえた「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善や、特別な配慮を必要とする児童生徒等の学習上の困難低減等での活用が想定されている。

 文部科学省は、「学習者用デジタル教科書の効果的な活用の在り方等に関するガイドライン」「学習者用デジタル教科書実践事例集」を公表。2024年度本格導入を目指すため、現在さまざまな検討が行われている。 

GIGAスクール構想により、デジタル教科書の発行状況が大きく進化


 学習者用のデジタル教科書は、2013年から高校用、2015年から小学校用が発行されている。2021年6月に「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議」が公表した第一次報告によると、2020年度における各教科書会社のデジタル教科書発行状況は、小学校用が約94%、中学校用が約25%であった。しかし、GIGAスクール元年とも言える2021年度は、小学校用・中学校用ともに約95%に達しているという。

 一方でデジタル教科書を利用している学校は、2020年3月1日時点で公立小学校7.7%、公立中学校9.2%、公立高校5.2%(文部科学省「令和元年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」)と低い。活用の実践例が少ないことから、全国規模で実証的な研究を行いつつ検討することが必要だとされている。

 報告では、2024年度からの学習者用デジタル教科書の本格導入を目指すにあたり、必要となる取組みや留意すべき事項等をまとめている。

デジタル教科書の本格導入へ…文科省「第一次報告」公表

2022年度、まずは小5・6と中学校で提供する


 2021年11月26日に閣議決定された2021年度補正予算では、個別最適な学びを実現するためのGIGAスクール構想の推進等に215億円を計上。このうち、デジタルコンテンツとしてのデジタル教科書の配信基盤の整備に30億円が割り当てられている。配信基盤の整備では、通信回線速度が遅い学校でもデジタル教科書や連携するデジタル教材等が確実に届く配信基盤を実証する。文部科学省としてデジタル教科書の要件定義を示し、各発行社等がそれに対応したデジタル教科書・配信方法を開発、実証する。

 また、35億円が割り当てられているGIGAスクール構想推進のための学習者用デジタル教科書活用事業では、2024年度の本格導入を目指すため、2022年度に国公私立の小学5・6年生、中学校全学年を対象にデジタル教科書(付属教材を含む)を提供する。朗読音声を用いた外国語(英語)での活用について検証するほか、算数・数学と理科のいずれか1教科、音楽、図画工作・美術、技術、家庭、体育・保健体育のうちいずれか1教科でも実証するとされている。

デジタル教科書活用や大学ファンド創設…2021年度補正予算

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