理科・数学教諭、足りません…大阪市教委「理系ポスドク」募集へ – ニフティニュース

基本問題

 大阪市教育委員会は2024年度から、教員免許がなくても教壇に立てる特別免許状制度を活用し、理系の博士号を持つ研究員(ポスドク)らを、市立中学校の教諭として採用する方針を固めた。教諭のなり手不足が続いており、雇用状況が不安定なポスドクから専門性を持つ優秀な人材を確保する狙いがある。(三浦孝仁)

 専攻と学習内容を結びつけやすい理科、数学での採用を想定している。通常の教員採用試験とは別に選考し、合格者を大阪府教委に推薦。特別免許状を授与するよう求める。指導計画案や教材の作成など、実務的な知識や技術は研修で学ばせる。

 選考の方法や採用人数は今後、検討する。

 大阪市立中の教員採用試験で数学、理科の採用倍率は低水準で推移。来春の採用に向けて、今年実施した試験では、数学が3・1倍、理科が2・1倍と、社会(7・5倍)や英語(5・3倍)、国語(3・7倍)を下回った。

 一方、大学などに在籍する、若手のポスドクの多くは3〜5年の任期付きの職に就いており、収入や雇用が不安定なことが問題になっている。

 市教委幹部は「理科や数学に苦手意識を持つ生徒もいる。専門知識を生かして、難しい内容もわかりやすく教えられる人に来てほしい」と期待する。

 文部科学省によると、18年度までに全国の小中高校などで特別免許状を授与した件数は1478件。18年度は208件で、教科は英語や看護が多かった。制度活用に向けて今年5月に同省が示した指針で、対象となる人の例として、博士号、修士号取得者や外国の教員資格を持つ人、運動や芸術で顕著な実績のある人などを例示した。

 京都市では04年度以降、英語、数学、理科、保健体育などの教科で、会社員や研究者ら計12人を採用。元五輪選手もおり、市教委教職員人事課は「キャリア指導などに専門性が生かされている」としている。さいたま市や広島市でも採用している。

 ◆特別免許状制度=教員免許を持っていないが、優れた知識や経験を持つ人を教員に登用する制度。学校教育の多様化や活性化を目的に、1988年に創設された。勤務予定の教委や学校が推薦し、都道府県教委が教科ごとに免許を授与する。

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