野球少年の“勉強嫌い”を予防 東大野球部前監督が説く「声かけ術」とは? – goo.ne.jp

花のつくりとはたらき

東大野球部の監督を務めた浜田一志氏【写真:高木希】

(フルカウント)

子どもは褒めれば「ますます頑張るようになる」

 2013年から2019年まで東大野球部監督を務め、プロ野球に進んだ宮台康平投手(ヤクルト)も指導した浜田一志氏には、部活と勉強の両立を目指す学習塾「Ai西武学院」の塾長という顔もある。少年野球の「指導」をテーマにしたFirst-Pitchの企画「ひきだすヒミツ」による浜田氏の連載第3回は、文武両道を実践する上で重要になる“習慣づけ”について聞いた。子どもの「褒められたい」という本能を刺激することで、野球も勉強も習慣づけができると説いた。

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 小学生のうちに、野球をやりながら勉強もすることを習慣づけるのはそんなに難しいことではないんです。野球は「やりなさい」と言わなくても、楽しいからやりますよね。これは本能です。勉強をするのも本能的なところがあるから、そこを刺激してあげればいい。

 小学校に通いたての1年生なんかは、帰宅すると母親に「ねえ、ねえ、聞いて、聞いて、今日はこれを習ったんだよ」と、自分から報告しますよね。あれは「偉いね」って褒めてもらいたいからなんです。大人だってSNSで「いいね」貰ったらうれしいでしょう? それと同じです。

 だから親の方から毎日「今日やったことを教えて」と話しかけるようにする。そして褒めてあげる。そうすれば子どもは進んで勉強するようになります。これは野球や習い事にも置き換えることができて「今日の練習何やったの」って聞いて、褒めれば、ますます野球を頑張るようになりますよ。

「宿題しなさい」っていう声掛けもしなきゃダメです。「顔を洗いなさい」「歯磨きしなさい」も聞いていないようでちゃんとやるでしょう。だから「宿題しなさい」も習慣にするなら言い続けることです。

 東大の学生なんか、受験勉強が大変だったという感覚はない。習慣化していますからね。子どもは学校の勉強をして、スポーツをして、家の手伝いもして、やることがいっぱいあって大変そうですが、習慣になってしまえば、どうってことはない。顔を洗い、歯を磨くようにこなすようになりますよ。

進んで机に向かわせるにはお手本を「一番いいのは親」

 自分から進んで机に向かうなんて子はいません。だから勉強っていうのはこうやってやるんだよって、誰かがお手本を見せてあげなくてはいけない。それが誰なのかは環境によりますけど、兄弟でもいいし、近所の友達でもいい。一番いいのは親ですよね。

 毎日10分でも親が机に向かって勉強する姿を見せれば、子どもも真似するようになる。親がスマホをいじってれば、子どももいじるようになるんです。

 文武両道で勉強もスポーツもやるとなると、時間の管理が大事になります。子どもっていうのは本能的に行動しますから、好きなことを始めたらそればかりやります。小中学校のうちは親が時間の管理をしてあげなくてはいけません。

 1日のうち、睡眠と食事の時間を除いた活動時間が小学生なら12時間、中学生は14時間、高校生で15時間くらいあります。これをどう割り振るかということになります。高校生であれば「七五三の法則」といって、7時間を勉強、5時間をスポーツ、3時間を自由時間に使うのが理想的です。

 小中学生もだいたい同じくらいの割合で、ざっくりとした時間感覚を持ってスケジュールを立ててあげるといいんじゃないですかね。

○プロフィール

浜田一志(はまだ・かずし)1964年9月11日生まれ、高知県出身。土佐高校で野球部に所属し、東大理科二類に現役合格。野球部に入部し、4年時に主将を務めた。東大工学系大学院を修了後、会社員を経て1994年に文武両道を目指す学習塾Ai西武学院を開業。2013年から2019年まで東大野球部監督を務めた。(石川哲也 / Tetsuya Ishikawa)

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