GUやユニクロなどの新規参入が増え、本格的に浸透し始めた吸水ショーツ。数あるブランドの中でも圧倒的な吸水量で人気なのが、2020年7月にデビューした「Be-A(ベア)」です。21年2月には、大人だけでなく小中学生も快適な生活を送れるよう、ジュニアライン「ベア ペティート シグネチャーショーツ」を発売しました。
同商品の展開にあたりヒアリングしたジュニアユーザーやその保護者の声から「生理やカラダについて学ぶ機会の必要性を感じた」という「ベア ジャパン」COOの山本末奈子(やまもと・みなこ)さんとCOOの髙橋くみ(たかはし・くみ)さんが、10月に都内で生理について学ぶ親子セミナーを開催しました。
きっかけは子供たちの「漠然とした不安」や保護者からの声
セミナーのタイトルは「親子セミナー『学校では教えてくれない、生理とカラダのこと』」。ベアの公式SNSやメールマガジンで募集し、抽選に当選した子供と保護者10組20人が参加しました。これから生理を迎える小学4・5年生を対象とした内容で、「生理とは? 」「生理用品の最新事情」「生理中はどう過ごす? 生理中のケア」の3つのテーマでトークが繰り広げられました。
きっかけとなったのは「学校の性教育だけでは物足りない」と感じている保護者の声や、知識がない中で漠然とした不安を抱える子供の声が多数寄せられたこと。「次世代を生きる子供たちにも、生理や体の仕組みについて正しい知識を伝え、私たち大人が感じていたような不自由さや不便さを解消していくことこそが、今後の女性の社会進出の増進にもつながる一歩」と考え、「ベア ジャパン」として継続的なセミナーの開催をスタートしました。
ナプキンやタンポンに触れ、装着する体験も
「生理とは? 」のテーマでは、生理の基礎知識についてトーク。子宮の大きさを卵、卵巣の大きさをうずらの卵に例えて説明したり、経血の量やおりものについての説明も。山本さん、髙橋さん、それぞれが生理を迎えたときの実体験なども交えながら、学校の保健体育の授業では扱われることの少ない体の知識についてより具体的に語られました。
「生理用品の最新事情」のパートは、ナプキン、タンポン、サニタリーショーツ、吸水ショーツなどを実際に手に取って試すワークショップ形式で進行。色水を紙ナプキンに吸収させてみたり、タンポンを水につけて膨らんでいく様子を見てみたり。羽付きナプキンをサニタリーショーツに装着したり、切れ込みを入れたスポンジを腟に見立ててタンポンを挿入したりなど、具体的な使用方法がレクチャーされました。
体育の授業は? 水泳は? 学校生活を念頭にアドバイス
「生理中はどう過ごす? 生理中のケア」では、体育の授業や水泳の時などはどんなことに気をつけたらいいかや、生理用品の正しい捨て方など、学校生活のシチュエーションを想定し具体的にアドバイスされました。
山本さんの呼びかけで「生理で失敗したことがある人」に参加者の母親ほぼ全員が手をあげる場面も。「実は大人も約8割が生理で失敗した経験があります。だから、失敗しても落ち込んだり、恥ずかしく思うことはありません」と声を掛けます。
また、最後には使い捨てナプキンはプラスチックからできているものが多く、海の使い捨てプラスチックゴミの第5位は生理用品であることも伝え、環境への配慮も生理用品を選択するうえでの一つの視点であることが話されました。
生理について学ぶ機会を父子家庭や男子にも
登壇した髙橋さんは「お子様たちが恐る恐るではありつつも、楽しそうに実際の生理用品を開けて実験に参加してくださった。今後も子供たちの目線に合わせたセミナーを行っていきたい」と確かな反応と手応えを感じた様子でした。
初めて生理になった直後はそれだけで驚きと不安でいっぱいなのに、生理用品の扱い方までその場でマスターするなんて、かなり無理があります。あらかじめ練習しておくことで、その不安がかなり和らげられるはずです。
また、参加者からは「今回のような機会をぜひ、父子家庭のお子さんに提供していただきたいと思います。ご本人もお父さんも不安に感じられていると思うので」(10歳の子供の母親)という声も。
「私も山本もシングルマザーに育てられ、シングルファミリーの手助けになる活動をしていきたいと常に考えていた。私たちに何ができるだろうと思っていたが、まさに“生理セミナー”のような活動だと思う。父子家庭向けセミナーの実施に向けて、具体的に企画を考案中です」と髙橋さん。
また、山本さんは小4、髙橋さんは小3と中2の男の子の母であることから、将来的には男子に向けてのセミナーも計画しているといい、髙橋さんは「まずは父子家庭、女の子向けセミナーを優先していくが、家庭内でどのように生理について話すべきか、伝えるべきかを常に考えている。女の子たちが社会に出たときに過ごしやすい社会をつくるためには、男子へのアプローチもマストだと思う」と今後の展望についても語りました。
女の子も男の子も一緒に生きやすい社会の実現を
最後に、山本さんと髙橋さんに、子供の性教育について聞きました。
「理想的には学校教育の中で正しく十分な教育ができることだと思う。現在の日本の性教育は費やされる時間も使用される言葉も不十分だと感じる。例えば、中学校の教科書では“性行為”という言葉すら使われていないのに、そこから急に飛んで“性感染症”についての説明があるなど、実際子供たちの目線に立って、真に理解してもらうために考えられているのか疑問が残る。女性が40年間人生をともに過ごす“生理”に関しては、小学校、中学校、高校と教科書でカバーされているのはほんの数ページ。しかも“生理”という言葉自体は使われておらず、“月経” “初経”という言葉のみ。でも実際に薬局で生理用品を探す時は“生理用品・サニタリーコーナー”となる。分かりやすい実際使用されている言葉で、はぐらかさずに正しく十分な時間をかけて教えることで、子供たちも自然現象として受け止めることができるようになると思うし、将来的に女の子も男の子も一緒に生きやすい社会を実現できるのではと思う」。
同セミナーには、テレビ局2社の取材も入っており、この言葉にあるように、生理についての正しい知識や性教育のあり方が問われ、注目されているのが分かります。
女性も男性も生理について知り、現実に沿って語られることが、互いを理解することとなり、それがより良い社会へつながるのだとあらためて感じました。
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