前回のドラマでも、志望者が増えた
今年の4月から6月にTBS系で放送された『ドラゴン桜』は、2005年に放送された同名ドラマの続編。偏差値32の高校の生徒たちが東大を目指す学園ドラマで、最終回は20.4%と高視聴率だった。2005年の前作放送後には東大の志願者数が増え、実際、筆者も「ドラゴン桜を見て東大を目指した」という東大合格者を何人も取材した。
今回の原作は週刊漫画誌『モーニング』(講談社)で2018年から三田紀房さんが連載中の『ドラゴン桜2』。2005年に放送された前作ドラマの原作である『ドラゴン桜』の15年後を描いた続編だ。
前作で、偏差値36の高校から東大合格者を3人出して、学校を再建した弁護士・桜木建二(阿部寛)が、当時の教え子で東大進学後に弁護士となった水野直美(長澤まさみ)とともに、東大専科の生徒7人を東大に合格させるために奮闘する。
東大進学アドバイザーを20年以上務める青木さんは、全国のトップ進学校での講演で、難関大を目指す生徒に「東大受験生の心構え」などを伝え続けている。その講演で、ほぼ毎回『ドラゴン桜』の話をしているという。
「2008年度入試で東大の志願者数が初めて1万人を超えたのは、『ドラゴン桜』の影響だという話をよくしています。漫画やドラマによって、『偏差値が高くなくても東大を目指せる』ということがわかったんだと思います。あの頃の三者面談では、保護者から『ドラゴン桜のようなことって本当にあるんですか』と、よく聞かれましたね」
そのときの青木さんの答えはこうだ。
「高3の秋の時点で数学の偏差値が50では難しいけれど、春の時点で50ぐらいなら、『ドラゴン桜』が教えてくれた基礎力と体力があれば目指せます。ドラマでも描かれていましたが、まずは中高低学年レベルの計算の訓練、国語や英単語の語彙力の正しい学習が大切です。基礎力を蓄え、それを引き出して使うことができるということが、東大合格への近道となります」
基礎力が備わった後に、東大入試で問われる思考力、想像力、表現力、判断力などを身につけていき、数学の偏差値50台から東大に合格した生徒を、青木さんは何人も見てきたという。
「全国の高校や河合塾のイベントで、高1生や高2生には、『よくわからないところがあれば、中学の教科書に戻り、しっかりと基礎力を蓄えてください』と話していますが、そのときにも『ドラゴン桜』の話をしています。近年は、『みなさんはあまり知らないかもしれませんが……』と前置きをしてから話すこともあったので、今年の春に続編が放送されたのはうれしいですね」(青木さん)
Powered by the Echo RSS Plugin by CodeRevolution.