来年度からの第3期スポーツ基本計画の策定に向けた議論を行っている、スポーツ庁のスポーツ審議会スポーツ基本計画部会は10月7日、第7回会合を開き、学校体育や運動部活動、子どもの体力向上などについて検討した。スポーツ庁から、運動部活動の地域移行に関して、学習指導要領における部活動の位置付けを見直すとともに、全ての公立中学校が地域移行に着手し、地域のスポーツクラブに所属している生徒の割合を50%以上にする数値目標案が提案された。
第2期計画では、自主的にスポーツをする時間を持ちたいと思う生徒の割合を80%とする目標が掲げられたが、2019年度の時点では65.3%で、目標達成は困難な状態にある。また、スポーツが「嫌い」「やや嫌い」である生徒の割合を、計画策定時の16.4%から半減させることも目標としていたが、これも19年度時点では15.8%とわずかな減少にとどまっている。
他方で、運動部活動の改革では「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」が策定され、平均活動時間の減少や休養日の増加といった成果が見られるものの、ガイドラインが定めた時間数や休養日の確保はまだ達成できておらず、部活動の指導が教員の大きな負担となっている状況は改善されていない。
こうした課題認識を踏まえ、この日の会合では、スポーツ庁から学校体育や運動部活動に関する施策の方向性が提案された。
運動に苦手意識を持つ子どもや障害のある子どもへの指導上の配慮では、体育の授業などを通じて、体力や技能の程度、障害の有無などに関わらず、スポーツの多様な楽しみ方を社会で実践できるような取り組みを進め、障害のある子どもと共に学べる学習プログラムの開発を行うこと、アスリートのセカンドキャリアや中学校の保健体育の教員を活用し、小学校高学年での体育専科教員の配置を促していくとした。
運動部活動の地域移行に関しては、子どものニーズに応じた多様なスポーツ環境を地域に整備するとともに、学校の体育施設を総合型地域スポーツクラブや民間事業者が活用することを前提とした施設整備を進め、学習指導要領における部活動の位置付けを見直すとした。
その上で、各施策の進捗(しんちょく)を測る数値目標として▽全ての公立中学校などにおいて、運動部活動の地域移行に着手し、地域のスポーツクラブに所属している生徒の割合を50%以上にする▽1週間の授業を除く総運動時間が60分未満の児童の割合を5%以下、生徒の割合を7%以下に半減させる▽卒業後にも運動やスポーツをしたいと思う児童の割合を90%以上、生徒の割合を80%以上にする▽新体力テストの総合評価がC以上である児童の割合を80%以上、生徒の割合を85%以上にする――などの数値目標案を提示した。
会合に出席した委員からは「運動部活動の人材に関しては、教育的な視点とスポーツを振興する視点の両面から、指導者に対して何らかの指導者資格の取得を義務付けてほしい」などの意見が出た。
同部会では、10月14日に予定している次回会合で、スポーツの成長産業化や地域振興、大学スポーツの充実などについて協議した上で、年内に中間報告案を取りまとめる方針。
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