新型コロナウイルスの「第5波」による新規感染者数は兵庫県姫路市内でもようやく減少に転じつつあるが、その数はいまだ第4波のピーク時に近い。感染力が強いデルタ株が流行した第5波では、子どもの陽性割合も高まっている。小中学校、高校とも2学期は運動会や音楽会など行事がめじろ押しだが、緊急事態宣言も延長される中、各校とも感染対策と学校教育の両立に頭を悩ませている。(井上 駿)
【写真】音楽の授業風景は様変わり。ミニキーボードを演奏する児童
「吹かずに指で押さえてください」。市立野里小4年の音楽の授業で、大谷彩教諭がマスク姿でリコーダーを手にする児童に手本を見せた。飛沫(ひまつ)が出る歌唱や管楽器の演奏は感染リスクが高いとして見送っており、手をたたいてリズムを取ったり、DVDを鑑賞したりするなどして授業を組み立てている。
音楽教諭出身の松尾弘子校長は「リズム遊びや鑑賞活動が中心となり、音楽が苦手だった子どもが参加しやすくなった面もある」と話す一方、「本来なら音楽会の練習に熱が入る時期だが、今はできない」と悩む。
市教育委員会は2学期の開始に合わせ、英会話や理科の実験など、近距離で児童生徒が話し合うグループ活動などを当面見送るよう各校に要請。小学6年の修学旅行は延期の決定が相次ぎ、5年の自然学校は宿泊を伴わない形に変更となった。2学期に運動会や体育祭を計画する小中学校は、競走やリレー、ダンスなど密が生じない種目に限定し、保護者の入場も制限するという。
また宣言の延長を受け、中学と高校では9月末まで部活動も原則休止に。新人戦などの公式戦がある場合、県教委の通知では4週間前から練習できることになっているが、西播磨にある県立高の運動部などでクラスター(感染者集団)が確認されたこともあり、ある中学校長は「部活ができる期間に入っても自粛している」と明かす。
姫路市教委によると、市立の学校で校内感染が疑われるケースは、14日時点で高校の1件だけだが、感染不安で欠席する児童生徒が相次いでいるため、各校に欠席者数などの調査を始めた。コロナで長期間欠席する小中学生の家庭学習や担任との連絡用に、国の「GIGAスクール構想」で1人1台配備された学習用パソコンの持ち帰りも2学期から認めた。
市教委の担当者は「児童生徒の感染者を出さない、広げないことが最優先。学校行事を延期したり、取りやめたりする勇気も必要で、きちんと保護者に説明していきたい」としている。
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