分散登校、負担増に不安 熊本県内小中高校で9月1~12日実施 – 熊本日日新聞

 新型コロナウイルス感染が学校で広がるのを防ぐため、熊本市立小中学校に続き、市内の県立高校なども9月1~12日に分散登校とする方針を県教委が打ち出した。夏休み終了直前の発表に、学校現場や保護者からは負担増を不安視する声などが聞かれた。

 ある熊本市立中は、2学期に向けて準備していた時間割の作り直しに追われている。校長は「コロナの影響で本年度はただでさえ高校入試が前倒しになっている。3年生の授業時間の確保が一番不安だ」と漏らした。

 給食を取った方が望ましい困窮家庭の生徒への声掛けや、秋の合唱コンクールをどうするかなど課題は山積。校長は「まん延防止等重点措置の延長が心配だが、まずは分散登校となる平日を乗り切ることが先」とため息をつく。

 熊本市は学年ごとに登校日を分けて分散登校を実施するため、登校日の学級内の人数はこれまでと同じ。中3男子と小6男子の父親で会社員の矢野文高さん(44)=中央区=は「分散登校によって普段から大変な先生たちの負担が増えないか心配」とした上で、「今回のやり方が感染対策として十分か疑問」と話した。

 中2女子と小5女子の母親で会社員の女性(42)=中央区=は、デルタ株の感染が10代や10代未満に広がっている状況を懸念。「少人数学級の小学校に比べ、中学校は密度が高い。学級内の人数を減らさなければ、感染のリスクは減らない」と心配する。登校日以外のオンライン授業も昨年の休校期間を振り返り、「学習の質が十分に担保されているだろうか」と疑問を投げ掛けた。

 熊本市教委の方針発表後、県内130の学童クラブが加盟する県学童保育連絡協議会には市内の複数の施設から「学校の具体的な運用が分からず、保護者の利用状況が見通せない」といった相談が寄せられている。

 県内の学童保育ではクラスター(感染者集団)が発生しており、協議会の神田公司会長(65)は「子どもの預け先がない家庭や支援が必要な子にとって、学童保育は欠かせない居場所。各施設には換気や消毒の徹底を改めて呼び掛ける」と気を引き締めた。(澤本麻里子、隅川俊彦、堀江利雅)

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