千葉県八街市で6月、下校中の小学生5人が飲酒運転の大型トラックにはねられ死傷する事故が起き、現場の市道は、通学路にもかかわらずガードレールや路側帯がなかった。歩行中の児童を交通事故から守るため、茨城県内でも通学路の安全対策が進む。事故の危険があるとして対策が必要な場所は今年3月末時点で約1200カ所が残り、さらなる対策が急務となっている。
▼20年、15人がけが
対策が必要な通学路の一つ、水戸市西原1丁目の市道は、片側に歩道がなく、スクールゾーン表記などで対応している。近くに住む女性(80)は、「歩道がない方を歩いている児童を見て、危ないなと思うことがよくある」と心配する。
県内で事故も起きている。那珂市菅谷の市道で昨年12月、近くの小学校に集団登校中の小学生7人の列に乗用車が突っ込み、5人がけがを負う事故が発生した。この通学路を巡って市議からは、近くに大通りが完成し、危険箇所の見直しを議会で求めていたとの指摘が上がっていた。
県警交通総務課によると、徒歩で登下校中に事故に遭い、けがを負った県内児童の人数は、過去5年間で、2016年23人▽17年40人▽18年31人▽19年16人▽20年15人-だった。
▼京都の事故契機
県教委が通学路の危険箇所の調査に乗り出す大きなきっかけとなったのは、12年4月に京都府亀岡市で無免許運転の車が児童の列に突っ込み、児童2人を含む3人が死亡、7人が重軽傷を負った事故だ。12年からの調査で、県内公立小中学校の通学路で、対策が必要と判断したのは累計3861カ所に上るという。
県教委保健体育課によると、3861カ所のうち、今年3月末地点で約1200カ所の対策が終わっていない。理由としては具体策が定まっていないほか、ガードレールの設置費用など予算や道路管理者との調整の難航を挙げるなど、対策が進んでいない市町村もあるという。
▼ソフト面も重要
県内では、京都の事故などをきっかけに、14年度から毎年、市町村が主体となり学校や警察、道路管理者と連携した合同点検を実施し、「通学路交通安全プログラム」を策定している。
八街市での事故を受け、文部科学省は全国の教育委員会などに通学路の合同点検を要請。県教委は市町村教委に対し、毎年の合同点検に加え、危険箇所に指定していなかった通学路も含め9月末までに再点検し、10月末ごろまでに対策案をまとめるよう求めている。
事故防止に向け、県教委保健体育課の担当者は「歩道整備や道路のカラー舗装などハード面の対策だけでなく、児童への安全指導や立哨の強化などソフト面の対策も重要」と述べた。
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