授業時間確保へ、対応急ぐ塾 熊本県公立高、来年の入試日程前倒し 共通テスト1回のみ、進路選択に影響も – 熊本日日新聞

 来年の熊本県内公立高校入試は前期は1月24日、後期は2月24、25日にある。例年より1週間程度の前倒しで、熊本県で定着していた「前期は2月、後期は3月」が崩れる。進路選択の重要な判断材料とされている県中学校共通テストも2回から1回に。学校現場が変化を冷静に受け止める一方で、成果が求められる学習塾は対応に追われている。

 7月下旬、夏期講習が始まった学習塾「熊本ゼミナール健軍校」(熊本市東区)。平井良介校長(37)は「入試直前に伸びる子もいる。日程の前倒しは痛い」と率直に語る。

 入試日程の変更は、新型コロナウイルスに感染した生徒向けの追試験と2次募集の重複を避ける目的で、今回だけのものなのか、以降も続くのか見通せない状況だ。

 熊ゼミは、日程前倒しで減る演習時間を確保するため、夏休みが明けたら、土曜のコマ数や月2回ペースの日曜特訓の回数を増やす予定。3年次の学習内容をできるだけ早く終わらせ、入試対策に入りたい考えだ。

 学校現場では本年度から、思考力を重視する新中学校学習指導要領が全面的に実施。さらに熊本県では中3生を対象に9、11月の年2回あった共通テストも11月の1回になる。

 受験生は例年、9月に向けて意欲を高め、11月の結果を受けて最終的に志望校を絞り込んできた。

 進路選択の材料が減ることで熊ゼミでは8月の公開模擬試験の申し込みは、昨年の2倍以上という。熊ゼミに通う甲佐中3年の女子生徒は「1回の共通テストで実力が出せるか不安。夏休みにしっかり勉強したい」と話す。

 早稲田スクール(熊本市中央区)で高校受験を統括する帯山校の藤本良校長(55)は「さまざまな変化への対応が重なり、手探りの状態」と現状を説明。1、2月の私立高入試とも時期が重なることから、受験生の志望校選択が難しくなるとみられる。

 一方で、学校現場は冷静な受け止め。熊本市立中の50代の進路指導担当教諭は「進路は共通テストありきではなく、校内テストも加味して総合的に判断する。影響は少ない」。日程の前倒しも「カリキュラムを見直し、学習スピードを上げることで対応できる」としている。

 県中学校教育研究会進路指導・キャリア教育部会の本田克弘部会長(59)=八代五中校長=は「学校行事の見直しや、3者面談の前倒しなどの対応が急がれる。受験生の不安を把握し、小まめにフォローしていきたい」と話している。(臼杵大介、川野千尋)

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