開成高校“なりすまし登校”は「親心の暴走」が招いた…? 「明大替え玉受験」目の当たりにしたカリスマ家庭教師に聞いた|まいどなニュース – 神戸新聞社

開成高校“なりすまし登校”は「親心の暴走」が招いた…?-「明大替え玉受験」目の当たりにしたカリスマ家庭教師に聞いた|まいどなニュース-–-神戸新聞社 教育関連ニュース

東大合格者数39年連続トップを誇る進学校、私立開成高校(東京都荒川区)で、発覚はっかくした“なりすまし登校”。今年2月の入学試験で合格した男子生徒とは別の少年が男子生徒になりすまして登校していたという話ですが、「別の人間になりすまして学校生活を送る」という何とも不可解な

出来事

にネット上では「何の意味があるのか分からなくて???になってる」「全部意味不明やん」「全然何考えてるかわからん」などと疑問の声が上がっています。

確かに、仮にばれずにに卒業できたとしても、卒業証明書も別の人の名前で受け取ることになります。ですから、大学受験ふりがな就職ふりがなする際には「(そのまま)その人になりすますか、偽造するつもりなのか?」などと指摘する声もあり、別の誰か名前で通う側のリスクは計り知れません。一体、少年を通わせた保護者の考えとはどんなものだったのでしょうか? 受験生を持つ保護者の方や、数々の受験生や保護者を見てきたという中学受験専門の塾を経営する“カリスマ家庭教師”の榎本勝仁(えのもと・かつひと)さんなどにお話しを伺いました。

開成中高、受験生の保護者「誰しも憧れる名門男子校」

開成高校といえば、開成中学受験も国内で難関とされている名門男子校。中学受験で合格を果たせなかった受験生の中には、高校受験で“リベンジ受験”する子もいるといいます。

授業は他校に比べて進度が速く、高校1年生で高校3年間分の授業が終わる教科もあるとか。また名物競技「棒倒し」などが繰り広げられる開成の運動会には、数多くの受験生も訪れるほどの人気を集めているそうです。

報道などによると、今回の“なりすまし登校”が発覚したのは7月下旬。出身中学から引き継がれる生徒の個人情報などが記載された「指導要録」が届いていなかったため、合格した生徒の出身中学に問い合わせたところ、別の高校に通っていたことが発覚。合格した生徒は除籍処分に、なりすましていた少年を立ち入り禁止処分になったといいます。コロナ禍で入学式も行われず、6月下旬までオンライン授業だったことなどから、学校側は合格した生徒になりすましていたことを確認するのが遅れたようです。

中学受験を目指す6年生男子の保護者に、開成高校についてお話を伺ったところ「我が家にとっては、雲の上の存在。息子の現時点の成績では全く受験することさえもはばかれます。男の子を持つ親としては誰しも憧れるのではないでしょうか」とのこと。“なりすまし登校”については「優秀な弟が受験して兄が開成に通ったとか? 兄弟という報道も目にしましたが、それが事実だとしたら、お兄さんも開成に憧れていたのでは。とはいっても、許される行為ではありません。例えどんなに子どもが通いたいと訴えていたとしても、実際に通わせてしまった親に一番責任があると思います」と話します。

「保護者のモラルが崩れた」・・・過去の明大替え玉受験も

一方、“なりすまし登校”について「保護者として一線を越えた行動をしてしまった」と指摘するのが榎本さん。長年、たくさんの受験生や保護者を見てきた経験からお話ししていただきました。

「受験生となりすまし登校をしていた少年との関係性は分かりませんが、自分の子をどうしても『開成』に通わせたくて保護者が空いた席にはめ込んだという“暴走行為”に他なりません。これは保護者モラルの問題です。過去にも起きた替え玉受験など不正入学は全て保護者が理性を失った上での行為なのだと思います。元をたどれば『子どものため』という“親心の暴走”であり、かえってお子さんの人生に傷を付けることになります」と訴えます。

そんな保護者の“暴走行為”を強く訴える理由として、実は榎本さんご自身も出身校の明治大学(以下、明大)在学中に“替え玉受験”を目の当たりにした経験があるからだといいます。

「1991年の明大の入試で、タレントさんのご子息をはじめとする多数の替え玉受験が発覚しました。明大野球部元監督なども関与して逮捕劇にまで発展した事件です。私は当時大学3年生で、その受験生の代わりに“替え玉”となって受験したのが明大の学生。その一人が私の友人でした。すごいいやつだったのですが・・・発覚後、彼は退学になって。彼の名前が掲示板に退学処分として貼られていたとき、とてもショックを受けたことを覚えています。

入試当時、私は学内のバイトで受験生の誘導をしていたのですが、今でも彼を入試会場で見掛けていたら、もしかすると未然に防げたのではと悔やまれます。おそらくそのときのことを彼は猛省したと思います。ただ、一度は人生の奈落の底に突き落とされた彼も、今は立ち直り、社会人として立派に仕事されているようです。

こうした入学に関わる不正が起きるのは、全て子どもを思うばかり理性を失って、後先を考えずに行動をした保護者を含めた大人たちのモラルが崩壊した結果なのです」。

◇    ◇

今回の“なりすまし登校”騒動を教訓に、榎本さんは受験生の保護者に向けてこうメッセージを送ります。

「2021年の大学・高校・中学入試などあらゆる入学試験は、コロナ禍という厳しい環境下で実施されます。『難関校に入らせたい』『一つでも偏差値の高い学校に入れさせたい』という保護者のお気持ちはよく理解できます。ただ、その強い思いを暴走させたり、お子さんに押し付けたりすることはナンセンスです。我が子に合う学校とはどういうところなのか。今一度、冷静になって考えていただきたいと思います」。

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