日本スポーツ協会は7月15日、7年ぶりに実施した、中学校と高校を対象とした運動部活動指導者の実態調査の結果を公表した。中学校の約2割、高校の約6割で、休養日が週当たり1日以下となり、スポーツ庁が策定した部活動ガイドラインの基準である週2日以上の休養日を守れていない実態が浮き彫りとなった。また、休日の部活動が地域に移行した場合、4割前後の教員が地域人材に任せたいと回答した。

中高の運動部活動における休養日の設定状況

調査結果によると、1週間当たりの休養日の日数は、中学校で▽週0日 5.1%▽週1日 14.2%▽週2日 66.0%▽週3日以上 14.6%。高校で▽週0日 11.0%▽週1日 48.2%▽週2日 29.4%▽週3日以上 11.4%――で、中学校の19.3%、高校の59.2%が、スポーツ庁の部活動ガイドラインが定めている週2日以上の休養日の設定を守れていない状況が分かった。

また、平日4日、休日1日活動すると仮定した場合の、部活動ガイドラインが規定する活動時間の上限である週11時間を下回る活動をしているのは、中学校で58.1%、高校で25.9%にとどまった。

休養日について、「現状よりも増やしたい」と回答した割合は中学校で23.2%、高校で21.4%だった。同様に、平日の部活動の活動時間について「現状よりも減らしたい」と回答している教員の割合は、中学校で14.6%、高校で9.6%だった。いずれの回答でも、担当教科が保健体育以外だと、その割合が顕著に増えていた。

指導者の競技に関する専門性について見ると、中学校では▽保健体育の教員かつ競技経験あり 18.2%(前回調査比4.5ポイント増)▽保健体育の教員かつ競技経験なし 3.2%(同3.0ポイント減)▽保健体育以外の教員かつ競技経験あり 51.7%(同17.4ポイント増)▽保健体育以外の教員かつ競技経験なし 26.9%(同19.0ポイント減)。高校では▽保健体育の教員かつ競技経験あり 24.4%(同3.4ポイント増)▽保健体育の教員かつ競技経験なし 1.4%(同2.6ポイント減)▽保健体育以外の教員かつ競技経験あり 48.9%(同14.8ポイント増)▽保健体育以外の教員かつ競技経験なし 25.3%(同15.6ポイント減)――で、以前に比べると競技経験のある教員が指導に当たる傾向が強まった。

また、競技の実技指導に関する自信度を尋ねたところ、中学校では▽とても自信がある 4.5%▽自信がある 27.9%▽どちらともいえない 37.1%▽自信がない 18.4%▽全く自信がない 12.1%。同様に高校では▽とても自信がある 8.1%▽自信がある 33.6%▽どちらともいえない 37.6%▽自信がない 13.0%▽全く自信がない 7.7%――で、中学校の30.5%、高校の20.7%が、指導に対する自信がなかった。

部活動指導員や外部指導者の活用では、部活動指導員を依頼している割合は中学校で8.7%、高校で11.5%、外部指導員を依頼している割合は中学校で30.0%、高校で28.7%だった。中高共に、部活動指導員・外部指導者の約5割が、スポーツ指導に関する資格を持っていなかった。

文科省が2023年度から段階的に実施する方針を示している休日の部活動の地域移行が行われた場合、「地域人材に任せたい」と答えた割合は中学校で45.6%、高校で36.1%で、これも保健体育以外の教員の回答が保健体育の教員の回答を大きく上回った。さらに、現在、運動部活動で、地域と何らかの連携をしていると答えた割合は、中学校で16.7%、高校で17.6%にとどまった。

保健体育の教員とそれ以外の教員の意識の違い

調査を行った立教大学の松尾哲矢教授は「実技指導に対して必ずしも自信がある人が多いわけではない。教員は指導に自信がないから、もっとやらせないと強くなれないと考え、なかなか休めないのではないか。しっかり休んでもらうためにも、教員だけでなく外部指導員や部活動指導員も含め、指導者としての専門的な研修を受けたり、資格を取ってもらったりすることを支える仕組みが重要だ」と指摘した。

同調査は、生徒数30人以上の中学校600校、全日制高校400校を抽出し、今年1月22日~3月7日に運動部活動の顧問・副顧問が回答する指導者調査と、学校単位の調査を行った。指導者調査の有効回答数は、中学校が2275人、高校が2704人だった。


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