全国の都道府県立高校で唯一、男女別に入試の定員を設けている東京都立高校。男子に比べて女子の方が合格ラインが高い傾向にある実態を、毎日新聞が都教育委員会の内部資料に基づいて報じたこともあり、見直しを求める声が高まっている。実は9年前まで似たような制度を導入していた地域がある。東京に次いで高校生が多い大阪だ。なぜ廃止に至ったのか。その後、何が起きたのか。東京の制度の今後のあり方を考えるヒントを求め、西に向かった。【東京社会部/大久保昂】
3人に2人が女子になった府立旭高普通科
「間隔を空けて並びましょう!」
6月22日に訪れた大阪府立旭高校(大阪市旭区)本館2階の女子トイレの前には、こんな張り紙が掲げられていた。
大阪では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って約2カ月間続いた緊急事態宣言が解除されたばかりだった。張り紙は感染防止策の呼びかけの一環だ。
ただ、3階にある男子トイレには張り紙はない。それは、女子トイレの方が混雑して「密」になりやすいからだ。
5月1日時点の生徒数は学校全体で910人。うち男子は280人、女子は630人。3人に2人が女子と偏りがある。
「トイレの利用が増える冬場は、女子は廊下まで列ができることがあるんです」
校舎を案内しながら、吉岡靖人教頭が教えてくれた。大阪…
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