山梨県立大学が、福島県から県内に避難・移住し、県内の公立高校に通っている生徒の学校推薦型入試の出願を、住民票が県内にないことを理由に断っていたことがわかり、県は、大学に出願の要件を見直すよう要請しました。

福島県から山梨県内に避難している人を支援する団体などによりますと、原発事故などの影響で、7年前に福島県から県内に避難・移住している県内の公立高校の生徒が、山梨県立大学の「学校推薦型入試」への出願を希望したため、先月、高校側が大学に相談したところ、大学から、県内に住民票があることを出願資格の1つにしているとして、受験できないと伝えられたということです。


これを受けて県は4日、大学に対し、県内に住んでいて、やむをえない事情で住民票を移すことができない生徒も受験できるよう、出願要件を見直すよう要請しました。


長崎知事は取材に対し「住民票の有無という形式的なことで、子どもがチャレンジする機会すらも奪うことは山梨県としてあってはならない。住民票を外におくことには様々な事情がありうるわけで、今回、大変な思いをされた生徒さんにはおわびを申し上げる」と述べました。


要請を受けた山梨県立大学は、今年度の学校推薦型入試について、住民票が県内になくても、住民票を移せない理由や県内に住んでいることが確認できる書類、山梨県や市町村への納税を証明する書類などを提出すれば、各学校の推薦人数とは別の枠で出願を受け付けることになり、5日、県内のすべての高校に郵送か直接通知しました。


山梨県立大学は「平穏な受験環境の確保と受験生の個人情報の保護などに留意する必要があるという観点から、要項の解釈を変更した。引き続き公正公平な受験の実施に努めたい」としています。


また、出願を断られた高校生の保護者は「県立大との対応など、多くの方々にご尽力いただいたことに感謝申し上げます。もっと早い段階で大学側が対応できなかったものかと疑問が残ります。今後も柔軟な対応を望みます」とコメントしています。