コロナで変わる?高校受験 学校選びや勉強にも影響:山陽新聞デジタル|さんデジ – 山陽新聞

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私立高校の選抜1期試験に臨む受験生ら=1月、岡山市内

私立高校の選抜1期試験に臨む受験生ら=1月、岡山市内

 新型コロナウイルスの収束の兆しが見えないまま迎えた新学年。来年の高校受験に臨む生徒らはこれから、学校選びなど受験に向けた準備に入る時期を迎えるが、昨シーズンはオープンスクールが中止になるなど例年とは大きく状況が変わってしまった。戸惑いが大きかった岡山県内の保護者らの1年を振り返るとともに、コロナ禍が続く高校受験への影響を探った。

■志望校が決まらない

 どこの高校を選ぶか―。生徒たちが最も参考にするのが、各校で開かれるオープンスクールだ。在校生が学校生活や授業、部活動などについて実演を交えながらPRする。校風を肌で感じられる貴重な機会。しかし、昨年は様相が一変した。本来なら夏休みや秋口にかけて開かれるはずだったが、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、中止やオンライン、規模縮小する学校が相次いだ。

 岡山市の会社員女性(42)は「長男は興味のある学校のオープンスクールに定員オーバーで参加できなかった。志望校がなかなか決まらず、やきもきした」と振り返る。結局、学校案内のパンフレットやホームページなどを参考にしたという。

 瀬戸内市の会社員男性(44)の長女が通っていた中学校では例年、PTAが主催し、県内の公私立数校をバスで訪ねる研修会を実施していた。しかし、昨年は各高校の担当者が中学校を訪れてPRする形式に変更。「私は県外出身なので1日で岡山のいろんな学校を見学できると思い楽しみにしていた。学校周辺の交通事情や立地などを確認したかったのだが…」と残念がる。

 実際の入試でも、直前に面接の中止を決める学校もあり、「志望動機を直接語る場がなかった」と、戸惑いの声も聞かれた。

■進学先の多様化

 志望校選びを難しくしている背景には、少子化が進む中で私学を中心に各校が特色づくりを競っていることにある。特に私学はICT(情報通信技術)教育にいち早く取り組んだり、進学に特化したコースを創設したり、部活動を充実したりとさまざまな特徴をアピール。実際に県教委の中3生対象の調査によると、進学希望先は21年(1月現在)が、県立全日制67.8%、県内私立全日制20.6%。15年前に比べ、県立は10.2ポイント減に対し、私立は5.7ポイントも上昇している。

 能開センター岡山本部(岡山市北区中山下)高校受験部門責任者の中上哲徳氏は「今でも公立が軸だが、私学は生き残りをかけ特色を鮮明に打ち出しており、選択肢は確実に広がっている」と指摘。公立志向が強かった親世代の中には「地元の県立高校に行くのが当たり前だった」と話す人もいるが、今は私学を目指す中学生も増えている。

■二人三脚

 この異例尽くしの受験への道のりが今後はスタンダードになるかもしれない。

 中学校からも入試情報が寄せられるが、「オープンスクールの代わりに口コミでの情報収集が有効」と話すのは、県私塾連盟の事務局を兼ねる志学社(倉敷市船穂町船穂)の石井啓嗣社長。学校の様子を聞きやすいのは、子どもなら先輩、親ならママ友らだろう。「特に子どもは実際に通っている生徒から授業や部活動の体験談を聞くなどすると、高校生活を具体的にイメージでき前向きになれる」とアドバイスする。

 勉強方法も工夫が必要になる。昨春は一斉休校になり、受験生も自宅学習を余儀なくされた。中上氏は「スマホやタブレットが学習のツールになる」と強調。「特にユーチューブで人気の勉強動画は、内容も面白く、興味を持って見ることができる。10分程度ならすぐ視聴でき、おすすめの関連メニューも表示されるため、無理なく勉強できる」と続ける。

 受験生は将来への不安から精神的に不安定になりがち。ただでさえ難しくなった志望校選びにコロナが影を落としている。中上氏は「高校受験は親子二人三脚。大学受験となると、子どもが自分で考えて決めていくため、親が手を出すことはあまりない。逆をいえば、親子で取り組む最後のチャンス。良好な関係を築くためには、勉強面を含め、できないことを指摘するのではなく、やったことに対して評価することが大切」。コロナ禍だからこそ、より一層その姿勢が求められるだろう。

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