読解力ない子の原因は「漢字」その効率的学習法 – ニュース・コラム – Y!ファイナンス – Yahoo!ファイナンス

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14:01 配信

漢字を読めない子は、国語だけでなく、ほかの教科の理解にも支障が出る可能性があります。ところが、新中学生になっても、「基本的な漢字すら読めない」「習っているはずの漢字を書けない」「書けても、微妙におかしい」「同じ音のまったく違う字を書いてしまう」といった子もいるようです。

そうした子に、漢字を効率よく身につけてもらうにはどうすればよいのでしょうか。その方法について、「百ます計算」で知られる隂山英男氏が監修した『小学校の漢字の総復習が7日間でできる本』を一部抜粋・再構成して、お届けします。

前回:「1aは何㎡?」算数苦手な子に今させたい復習術

■漢字力が弱いために教科書が読めない

 教室で子どもたちを指導していると、漢字の学習は、国語の一分野の学習ではなく、日本語の意味理解の中核であることを強く感じます。

 日本語の文章は、重要な内容が漢字を使った熟語で表され、それらがひらがなでつながれて意味を形成していきます。英語における単語と同じく、漢字や熟語などの意味がわからなければ、文章の構造がわかっていても、内容の理解はおぼつかないものになってしまうのです。

 しかし、最も問題なのは、漢字が重要であるにもかかわらず、学校教育においてその重要性が十分に理解されているとは思えないことです。その証拠に、小学生の漢字の定着率を見てみましょう。1年生や2年生は9割以上定着していますが、3年生では早くも8割を切り、4年生以上では7割以下、というのが全国的な平均です。

 「教科書が読めない」という問題が近年提起されていますが、小学校の高学年以上においてはその漢字力の弱さのために、「読解ができない」ということが日常化しているのです。

 では、漢字力をどのように習得すればいいでしょうか。まず、網羅的な教材で、漢字を書けるかどうか一気にチェックをし、書けない字をピックアップします。前述の定着率を考慮に入れると、平均で少なくとも全体の6割は覚えているわけですから、覚えていない4割を覚えられるよう絞ればいいのです。

 ところが、通常の漢字学習では、覚えている字と覚えていない字を区別せずに学習したり、一緒に覚えようとしたりしています。それでは、学習効率が大きく下がってしまいます。

 最も効果的な漢字の学習方法は、まず一気に学習を進めて、覚えられない字をピックアップすることです。そして、そこでわかった、覚えられていない字を集中的に覚えていく。こうすれば1000字余りの小学校で学ぶ漢字は、意外に短期間に習得できるものです。

 学習方法が悪ければ、まったく学習ができていないといっても過言ではありません。それは漢字学習において最も顕著なことなのです。

 2020年4月から、小学校の学習漢字に20字が追加されました。それまで中学校で習っていた、都道府県名に使用される難しい漢字です。新潟の「潟」、沖縄の「縄」、滋賀の「滋」、山梨の「梨」、岡山の「岡」などです。都道府県名を「読める」「書ける」ようにすることは、小学校の漢字学習と切り離せなくなりました。

 中学生になると、都道府県は社会科の「地理」で学習します。小学校で習った基本的な内容に加えて、より詳しい地形や人口、産業などを学び、さらには世界にまで目を向けて学習します。中学校の学習をスムーズに進めるためには、小学校の内容をしっかり理解しておくことが大切です。

 具体的には、都道府県の名前のみならず、位置や形、都道府県庁所在地の名前なども理解しておけるとよいでしょう。もし余力があれば、各都道府県の特長も一緒に知っておけるとよいです。

 小学校レベルの内容を、北海道地方・東北地方の例で見てみましょう。

・北海道は最も北に位置する都道府県である。

・青森県はりんごが名産である。

・岩手県の太平洋沿岸にはリアス式海岸が広がり、漁業がさかんである。

・宮城県の県庁所在地である仙台市は、東北地方の中心地である。

・秋田県は米の生産がさかんである。

・山形県はさくらんぼ(おうとう)が名産である。

 「○県と言えばこれ!」といったものです。都道府県の位置、地形、名産品、産業は、テストや入試でも問われやすいです。高校入試対策も見据えると、小学生のうちから、徐々に学習をしていけるとよいでしょう。

 次のような「地図を見て、位置と形から都道府県を見分ける」出題は、社会科のテストでよく出されます。

 「書けるだけでは解けない」出題は、差がつきやすいです。「解けるけど書けない」と、もったいない失点につながります((2)に「とち木県」と書いても、減点されてしまうかもしれません)。

 社会科の知識は、難しい漢字なども使われながら、社会科独特の問われ方をします。漢字学習をしっかりとしておくことが、社会科学習全体の理解を促すことにつながっていきます。

 ここで取り上げた「社会科を踏まえた漢字学習」は、「読める」「書ける」以上の応用レベルなので、小学校の漢字の復習を始めた段階では、無理に学習しなくても問題ありません。いずれは必要になる知識なので、余裕があるときに学習を進めていただければと思います。

■文章の読み取りは言葉の意味を理解することが重要

 ここまで漢字の学習について、説明してきました。次は、国語全般について述べましょう。

 国語において、小学生のうちにやっておくべきことは、学校で習うレベルの漢字の読み書きです。それができるようになっておかないと、中学校では「教科書が読めない」事態になってしまいます。これは先にも述べました。「教科書が読めない」事態の一例として、中学校で扱う「心情理解」に太刀打ちできないことが挙げられます。

 国語の文章の読み取りで最も大切なのは、1つひとつの言葉の意味を適切に理解することです。漢字が読めないと、言葉の意味を理解できません。

 中学校で扱う文章は、小学校で扱う文章よりも難しいです。心情の変化は、文章をしっかり読み取れないと、理解できないものです。もし、数カ所でも「漢字が読めない」と、読解のカギとなる箇所が読み取れなくなってしまうでしょう。だからこそ、小学校で習う漢字をまず確実に読み書きできることが必要なのです。

 私のこれまでの指導経験から、小学校で悩んだところこそが、中学校の学習の重要なポイントにつながると考えております。小学校での「難所」を確実に押さえる。これを中学校の入学前、遅くとも入学後の早い時期にしておくことは、中学校の学習を進めるために決定的に重要です。

 ここまでご紹介した学習方法を用いれば、「効率的かつ効果的」に、小学校の漢字のおさらいができるでしょう。

東洋経済オンライン

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最終更新:4/4(日) 14:01

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