新型コロナウイルス感染症の影響で今年度、厚木市内の小中学校の修学旅行は早々に中止となった。しかし、児童の学びや思い出づくりのために、各校では独自に代わりとなる行事やイベントを実施している。11月5日には、市立北小学校で地域の協力を得て50発の花火が打ち上げられた。
日光に行く予定だった同校の修学旅行。中止が決まると山田淳司校長が直接子どもたちに中止を伝えた。「ショックだったと思う。伝えた直後は静まり返って真剣な表情の子、涙ぐむ子もいた。『何かしてあげたい』と職員全員が同じ気持ちになったと思う」と山田校長は振り返る。その後、代替案を考えるなか、山田校長が大野貢市PTA会長と話した時に「花火を上げよう」という話に。「花火ならインパクトがあり思い出に残る」。当初から候補にしていた夜の学校探検と共に実施する計画にした。
花火の打ち上げは地元の株式会社ファイアートに依頼。学校だけでは予算が厳しかったが、PTAが補填する形で見通しが立った。さらに、地域の理解を得るために、山田校長と大野会長が北小学区の4つの自治会に説明しに行くと、快く協力してもらえることになった。自治会はコロナの影響で行事が中止になっており、予算に余裕があるということで寄付も受けた。依知北地区自治会連絡協議会の齋藤孝弘会長は「とても良いことなので『やりましょう』と後押しした。事情を聞き各自治会から寄付した」と話す。
当日は、昼間に益子焼の絵付け体験、夜に星空観察会、学校探検を実施。学校探検はPTAが協力して肝試し風に理科室をアレンジした。そして午後7時45分過ぎ、6年生が屋上に集まり、大きな声でカウントダウンをすると50発の花火が轟音とともに夜空を彩った。「迫力満点ですごかった」「想像以上で良い思い出になった」と児童は喜んでいた。
花火の最中は自治会が、校舎周辺の交通整理と見守りを行った。齋藤会長は「多くの人が来ていたけど事故がなくて良かった。こんなに身近に花火が上がることはないから、地域の人も喜んでたよ」と話す。PTAの大野会長は「子どもたちが本当に喜んでいて良かった。地域の大人が真剣に子どもたちのことを思って花火ができて、それを子どもたちが理解してくれていて嬉しかった」と話した。
観賞のため屋上に集まった児童 |
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