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本研究では、東京都杉並区の「部活動活性化事業」に焦点を絞り、部活動の外部指導者の問題について調べた。
杉並区は、東京23区の西側に位置し、2003年4月から、東京都初の民間校長を採用するなど先進的な教育改革を行う地区である。杉並区公立中学校の部活動では「部活動活性化事業」という民間企業による外部指導者派遣が行われてきた。企業連携型の事例は全国的に見ても珍しく、行政が積極的に介入した先駆的な例として、民間企業による外部指導者派遣の問題点を明らかにし、他の地域の参考にする価値はあるだろう。
本研究の目的は、東京都杉並区公立中学校の「部活動活性化事業」の目的と問題点を明らかにすることである。
この事業は、運動部活動における企業による指導者派遣を行っている。本研究では2019年に教育委員会の事務職員と民間企業(C社)の担当者に対して、専門家インタビューを行った。
インタビュー調査の結果、以下の内容が明らかになった。
1)杉並区の部活動活性化事業は、和田中学校の取り組みを発展させ、2013年からモデル事業として始まった。区の予算で、競技経験のない教員の部活動を中心に、民間企業からスポーツ指導者を受け入れた。
2)部活動活性化事業は、第一に生徒に楽しい部活動を体験させ、第二に教員の負担軽減を目的に行われていた。ただ、この事業の目的は、事務職員、C社の社員、校長によって認識の違いがあることが示唆された。この事業の問題点は、ソフトテニスなどの個人競技の指導者を確保することであった。
3)部活動改革を実現するためには、保健体育教員や日本中学校体育連盟も納得する取り組みをする必要性が指摘された。
4)文部科学省が推奨する「部活動指導員」制度は、職務内容、待遇、人材確保の面で問題があり、規制緩和する必要があることが示唆された。
5)部活動活性化事業は、部活動が成り立たない不公正な状況を是正するために、民間の指導者を派遣した取り組みであることが確認された。
千葉直樹 中京大学スポーツ科学部
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