「補欠合格の子ほど難関大学に進学する」…中学入学後に激伸びする子が春休みにやっていること – ニュース・コラム – Yahoo!ファイナンス – Yahoo!ファイナンス

「補欠合格の子ほど難関大学に進学する」…中学入学後に激伸びする子が春休みにやっていること-–-ニュース・コラム-–-yahoo!ファイナンス-–-yahoo!ファイナンス 教育関連ニュース

2022年度の中学入試が終わった。入学までにどんな準備をすればいいのか。プロ家庭教師集団名門指導会代表の西村則康さんは「学校側は“予習は不要”と言うだろうが、数学と英語は勉強しておいた方がいい」という――。

■「ギリギリ合格」でも下を向く必要はない

 2022年度の中学入試が終わり、受験生はそれぞれの進路が決まったことだろう。晴れて第1志望校に進学する子、第2、第3志望校に進むことになった子、公立中学に通い高校受験でリベンジを決意した子などいろいろだろう。だが、どんな結果であっても、気持ちを新たに、前に進んでほしい。なぜなら、中学受験は人生のゴールではないからだ。

 よく、中学受験で無理をしてギリギリ合格で進学するよりも、成績上位で入った方が有利と考える親がいる。確かに中学受験で無理をさせることは、小学生の子供に大きな負担がかかる。だが、それは子供の実力と大きくかけ離れているにもかかわらず、何がなんでも上位校を目指させるようなケースを指す。入試で上位合格しようが、ギリギリ合格しようが、その学校に合格できたという点で、学力の差が大きく開いているわけではない。むしろ、上位で合格したことで安心してしまい、その後の勉強をさぼり、中学・高校でまったく成績が伸びない子もいる。

 一方、補欠合格をして進学した子は、自分はギリギリで合格したと自覚しているので、入学後も努力を惜しまずに勉強に励む。その結果、大学受験で第1志望の難関大学に進学する子も多い。そもそも受験生のほとんどがボーダーラインで合格しているのだ。その差はわずか1~2点。だから、補欠合格で進学したからといって、自分を下に見る必要はまったくない。大事なのは、入学後、どのような姿勢で勉強と向き合うかだ。

■受験後2週間遊んだら、中学の準備を始めよう

 中学受験が終わったら、結果はどうあれ、まずは思いっきり遊ばせてあげてほしい。でも、2週間もすると、遊ぶだけの生活にも飽きてくるだろう。そのタイミングで、中学で好スタートを切れるように準備を始めておこう。中学受験でせっかく身についた学習習慣を崩さないためにも、少ない時間でいいから毎日勉強に向き合うことをすすめる。

 進学先の中学からは、おそらく春休み中にやるべき宿題が出るだろう。だが、その内容はほんの1日、2日で終わってしまう程度で、それだけやって満足してしまわない方がいい。また、学校から「数学と英語は中学に入ってから学習する教科なので、入学前に予習をする必要はない」と言われることが多いが、それを鵜呑みにしてはいけない。というのも、難関中学では、この程度の内容は分かっているだろうという前提で、授業がどんどん進んでいくからだ。

■数学は中1の内容すべて、英語は教科書の半分まで進めるといい

 だからといってガツガツ勉強する必要はない。数学であれば中1の内容をすべて、英語なら教科書の半分くらいまで進めておくといい。「そんなにたくさん」と思うかもしれないが、中学受験の勉強をしてきた子なら、中学1年生の勉強はそれほど難しいものではない。ただし、取り組み方には注意が必要だ。

 例えば、中学受験の算数なら途中式を書かなくても答えを出せることがある。しかし、数学ではきちんと式を書き、論理的に説明することが求められる。それを面倒くさがってしまうと、伸びていかない。また、英語は、小学校の会話を中心とした授業から、文法習得など書くことを中心とした授業に変わる。そのため、書くことに慣れることが重要になる。

 このように、中学では勉強のやり方が変わってくるのだ。そのことをしっかり頭に入れ、中学の授業が始まる前に少し予習をしておこう。そうやってほんのちょっと先へ進んでおくと、アドバンテージになる。ちなみに中1で学習する理科・社会は、中学受験の勉強でほとんどカバーしているので、入学前にやる必要はない。

■中1最初の中間テストが「最初の要」

 中学生になると、これまで以上にまわりと自分を比べるようになる。中学生にとって、成績の良い悪いは自己肯定感に大きな影響を与える。だからこそ、中1の最初の中間テストは頑張ってほしい。ここで良い結果が出ると、「僕はこの学校でこのくらいのレベルなんだな」と自分の立ち位置が分かり、「よし、この調子で頑張ろう!」と勉強に対するモチベーションを高めていくことができるからだ。

 では、中間テストで思うような結果が出なかったらどうするか。次に頑張ればいいのか。確かに頑張る必要はあるが、それだけではうまくいかないこともある。うまくいかないときには、必ず何か原因がある。例えば、算数から数学へ変わったことへの理解ができていなかったり、英語の単語の覚え方が分からなかったり、学習スケジュールの立て方が甘かったりなどが考えられる。それを見つけ、修正していかなければならない。

 子供だけで立て直すのが難しい場合は、親が一緒になって考えてあげよう。「中学受験では付ききりで勉強を見てきたけれど、中学生になったら自分で考えてやるべき」といきなり手放す親は少なくないが、この時期はまだ見守ってあげてほしい。特に数学や英語のように中学から本格的に始まる教科については、はじめの段階で苦手にしないことが大事だからだ。

■中1「2学期のテスト」が大学受験につながる

 そうやって、はじめは親子で、次第に子供自身で勉強に向き合えるようになることが理想だ。そして、2学期の定期テストで好成績を目指す。なぜ2学期の定期テストが重要なのかといえば、このあたりでおおよその成績が見えてくるからだ。

 先にも述べたが、中学入試の入学時の成績と高校3年生の卒業時の成績はあまり一致しない。中学に入学すると、最初にあるのが1学期の中間テストだが、授業が始まってまもなく実施されるため、それほど難しい問題は出ない。中学受験が終わった解放感であまり勉強をしてこなかったとしても、中学受験で蓄えた学力の貯蓄で高得点を取ってしまう子もいる。特に上位で合格した子に多い。すると、「なんだ、中学の勉強なんてこの程度か」と甘く見て、努力をしなくなる。ところが、2学期の定期テストになると、新しい内容がどんどん入ってくるので、日頃から家で勉強をしていないと、ガクッと成績が落ちてしまうのだ。

 一方、中学入試後から毎日コツコツと勉強を続けてきた子は、はじめはうまくいかないかもしれないけれど、試行錯誤をくり返すうちに、夏休み明けには勉強のスタイルが確立していく。そして、おもしろいことに中1の2学期の定期テストで好成績が取れると、その後もこの調子で成績をキープしようと頑張り続け、結果、大学受験で良い結果を出すケースが多い。つまり、中1の2学期以降の成績が、卒業時の成績とつながりやすいということだ。

■中学の勉強は「学校の授業」を大事にするべき

 やっと中学受験が終わったのに、中1から頑張らないといけないのかと慌てた親もいるだろう。でも、ここで焦ってはいけない。中学受験終了と同時に、難関大学受験に向けた塾や予備校に通う子がいるが、私はあまりすすめない。そういう塾では、難しい問題をたくさん解かせることで、大学受験対策を行う。授業はものすごいスピードで進むし、宿題の量も多い。あまりにも早い先取り学習は、子供たちの理解を超え、自信を奪う。また、学校と塾のどちらの勉強を中心にやっていいのか分からず、どちらも中途半端になってしまうこともある。

 私は中学の勉強は、学校の授業を大切にするべきだと考える。そして、家できちんと予習復習をし、定期テストで好成績を目指すことが、最終的に大学入試にもつながると思っている。塾に入れば、カリキュラムが用意されていて、勉強も進めやすいかもしれない。だが、中学生のうちに、自分で勉強の進め方を考え、うまくいかなかったら修正をするといった試行錯誤の経験を積ませることの方がはるかに大事と考える。

 中高一貫校に通うメリットは、それがじっくりできることではないだろうか。その準備期間として、入学前の今やっておいた方がいいこと、やらない方がいいことをぜひ知っておいてほしい。本当に勉強が楽しくなるのは、これからだ。

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西村 則康(にしむら・のりやす)

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員

日本初の「塾ソムリエ」として、活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導に定評がある。

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