水辺にたたずむコウノトリと、そっと寄り添うアオサギの姿は「まるでランデブー」。兵庫県姫路市船津町の神南中学校で理科を担当する長谷川隆典教諭(60)から、神戸新聞姫路本社にそんなメールが画像とともに届いた。生徒が学校近くのため池で発見したという。確かに羽を休める2羽は仲むつまじく食事を楽しんでいるようにも見えるが、野鳥に詳しい専門家に話を聞いてみると-。(森下陽介)
最初に見つけたのは1年生の早川真史さん(13)。授業が終わり、校舎3階で掃除をしていた時だった。窓の外に目をやると、ため池に2羽の姿があった。生物が好きな早川さんは、白と黒の羽に赤い脚という特徴から1羽はコウノトリとすぐに確信。もう1羽はアオサギだと分かった。
近くにいた同じく1年の小林悠惺(ゆうせい)さん(13)は教室にノートパソコンを取りに走った。国の「GIGAスクール構想」で1人に1台配備されているデジタル端末だ。搭載されたカメラ機能で写真を撮った小林さんは、インターネットで画像も検索して確かめた。
2人は「コウノトリは図鑑を見て想像していたよりも、ずっと大きくて迫力があった。静かに食事を楽しんでいるみたいだった」などと発見時の興奮を振り返る。知らせを受け、職員室に置いている一眼レフカメラで撮影した長谷川教諭も「20分以上、仲良さそうにじっとしていた」と話す。
2羽は本当にカップルなのか。野鳥に詳しい姫路科学館(同市青山)の森田俊司専門員に尋ねると、きっぱり否定された。
森田さんは「食事をするコウノトリから逃げた魚を、アオサギがそばで待ち構えていたのでは」とみる。どちらも水辺の鳥で、魚を食べる点で共通しているが、コウノトリは移動しながら長いくちばしを使って餌を取るのに対し、アオサギはじっと待ち伏せして餌を狙うという。
どうやらパートナー同士というわけではなさそうだが、森田さんは「コウノトリも姫路ではまだ飛来が珍しい。すぐに気付いて観察を続けた生徒たちの姿勢は素晴らしい」とたたえた。
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