2021年、都立高校の男女別定員制の是非が話題となった。調査の結果、2021年度の都立高校入試では、男女合同定員制であれば合格していたはずの女子が約700人不合格になっていたことが判明し、今後男女別定員制を段階的に廃止することが決まっている。
2018年にも、医学科の不正入試問題が発覚し、衝撃が広がった。今まさに日本は、入学試験における性差別的な構造や不均衡が指摘され、改善されていく過渡期にあると言えるだろう。
近畿圏の中学受験における「男女別定員制問題」
2000年代後半に近畿圏で私立中学校を受験した筆者らは、先日『私たちの中学お受験フェミニズム』と題した同人誌を発行し、受験生だった当時には気づけなかった、男女の中学受験生を取りまく環境の違いなどについて考察した。
中でも、筆者らが強い問題意識を持ったものに、近畿圏の私立中学受験における「男女別定員制問題」がある。近畿圏では受験生に特に人気のある難関共学校のうち3校が「女子生徒の数を少なく設定した」男女別定員制を採用しており、合格者最低点も女子の方が高い状態が続いているのだ。
私立であれば男女別定員制を敷くことも裁量のうち、という意見もあるかもしれない。しかし、同じ学校での教育のために女子にだけ高いハードルを課す方針の妥当性は問われるべきだろう。また、近畿圏の中学受験事情を踏まえれば、この3校の男女別定員制が女子中学受験生にもたらす不利益は大きいように思う。
この記事では、なぜこの3校の男女別定員制が女子中学受験生にとって大きな問題となるのかを解説し、こうした男女別定員制に関する見解について3校に取材した結果得た回答を紹介する。
男女別定員制を採用している人気校3校
3校のうちの2校、洛南高等学校附属中学(京都府、以下「洛南高附属」)と西大和学園中学(奈良県、以下「西大和中」)は、現在の近畿圏における‟女子最難関”校である。どちらも複数の中学受験塾で偏差値序列のトップに位置づけられている学校だ。
そして、大阪医科薬科大学と経営母体を同じくし、大阪の女子二番手にあたる高槻中学(大阪府、以下「高槻中」)(※1)も男女別定員制を採用している。
これら3校には、最近15年ほどの間に共学化した元男子校であるという共通点がある。
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