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熊本県熊本市にある中高一貫校の文徳学園 文徳高等学校。同校はBenQの電子黒板をトライアルで導入し、体育実技の授業で活用している。普通教室での活用が多い電子黒板ではあるが、どのような経緯があったのか。トライアルに至った経緯や体育での活用法、現われてきた効果など、文徳高等学校で保健体育を担当する河内恵梨教諭に話しを伺った。
実技をわかりやすく伝えたい
2021年度から全学年一斉に1人1台Chromebookを導入した文徳高等学校。ICT整備が進む中、今年10月上旬からBenQの電子黒板「RP6502」をトライアルで1台導入した。体育の授業で活用したい意図が発端だったという。
同校には普通科と理工科がある。2つの学科にはそれぞれコースがあり、各コースでカリキュラムが分かれている。通常、体育の授業はクラスごとに行うが、保健、ダンス、武道についてはコースの垣根を取り払い、複数のクラスを合同して授業を実施している。「今年の1年生から体育でダンスを選択することになりました。ダンスの動きやマット運動の時などにも、生徒にわかりやすい指導やアドバイスをしたいという思いが体育科の中にありました」と河内教諭は説明する。
私立学校向けの新聞に掲載されていたBenQの電子黒板が目に留まりトライアルに応募したという。電子黒板「RP6502」は教育向けのインタラクティブ・フラットパネル。ホワイトボード機能や動画表示など、「主体的・対話的な深い学び」を実現するための豊富な機能を搭載している。同校にとってこの電子黒板は、体育の実技指導をバックアップするツールとして打ってつけだった。
苦手克服や改善の糸口を掴めるように
実技が苦手な生徒に対して、「ここが出来ていないから、出来ないんだよ」と言葉で教えたとしても、生徒が本当に理解しているのかが課題だったと河内教諭。これまでは、できる生徒にデモンストレーションをしてもらい見回りながらアドバイスするといった工夫もしてきた。
現在、河内教諭は主にダンスの授業で電子黒板を活用しているという。「授業の序盤から動画を使っています。ダンスを教えてくださる先生がいるので、先生の見本を事前に録画した動画を生徒にまず見せて、その後にポイントをまとめて実践します。生徒の実践も動画で撮影します。それをまた電子黒板を活用して全員で動画を視聴するといったことをしています」。
録画した動画は見せたいポイントを1つ1つ停止して確認できるため、説得力を持って伝えられるようになったという。後ろからの姿も見ることができ、弱点や改善するべき部分が明確になり、それについて生徒と会話できるようにもなったという。動いている最中は動作が流れてしまうこともあり、言葉のみの説明ではやや限界があるが、ビジュアルで示せば客観的な視点で気づきを得られ、次はどうアプローチすれば改善に繋がるのか、苦手克服や上達に役立てられる。
積極性が生まれ、教え合いも活発になった
リズムが取れなくてダンスに苦手意識を持つ生徒も多いという。できる生徒のデモンストレーションを参考にしても諦めてしまうケースもあった。しかし、電子黒板を活用して自分自身のダンスを動画で見ることで、「次はこうしたらいいですか?」と積極性が出てきたという。動画を見て自分や仲間の姿に笑いが起きたり、生徒同士で盛り上がったりすることも増え、興味関心や楽しさが出てきたようだ。一度見ただけでは理解できなくても、納得するまで繰り返し確認できることが動画の良さでもある。
生徒同士のコミュニケーションにも今までにない変化が生まれた。前述のとおり、1年生がクラス合同でダンスの授業を受けているが、通常の授業ではコースごとにクラスが分かれ、さらにコースによっては校舎が異なることもあり、違うクラスの生徒同士が普段ふれあう機会があまりないのだという。そのため、ダンスの時間はどうしても同じクラスの生徒同士で集まってしまう傾向があった。ところが、電子黒板の活用で自然と対話が増え、お互いコミュニケーションを取るきっかけができ、その結果、気持ちが打ち解けて教え合いが活発になってきたという。
端末の接続も操作も迷うことなく快適
生徒の実践の録画にはiPadを使っている。河内教諭が個人所有しているもので部活でも頻繁に活用しているという。電子黒板で動画を再生する時はiPadと電子黒板をケーブルで繋いで使用。接続も操作も簡単で戸惑うことは一切ないという。
BenQの電子黒板はさまざまな端末に対応している。前面下部に各種の接続端子が集約されていて、わかりやすく使いやすい。一方、ワイヤレスで端末を簡単に接続することもできる。ワイヤレスであれば電子黒板の前に移動することなく、その場での操作も可能だ。
河内教諭が試してみたいと語るのは「スロー再生」だ。「私自身まだ使い方を理解していないのですが、実技でスロー再生ができれば、たとえば、マット運動の指導などで有効だろうと思いました。スローで動きを確認できればもっとわかりやすく指導してあげられるだろうと感じます」。マットで躓きやすい実技は後転。基礎がクリアできないと、その後に続く後転技の発展も苦手になってしまう生徒が多いのだという。
電子黒板自体にスロー再生機能はないが、端末でスロー再生した動画を電子黒板にそのままミラーリングすることで視聴は可能だ。たとえば、iPadなどApple製のデバイスからはAirplayを選択すれば電子黒板に表示できる。Airplay再生であればケーブル接続も不要。iPadで再生したい動画右上の「編集」を押し、指先で動画のメモリをスライドさせて再生速度を調節すればスロー再生ができる。または、録画する時点でスローモーション撮影が可能なため、その方法で撮影をしておくことでスロー再生は簡単だ。
豊富なコンテンツ、健康に配慮した機能も充実
河内教諭は女子ソフトボール部も担当しており、部活のミーティングでも電子黒板を活用してみたという。
BenQの電子黒板には授業などに役立つグラフィックのテンプレートがプリセットされている。英語で使う4線ノートや野球グラウンドといったものだ。表示したグラフィック上には文字や図形を書き込めて繰り返し使うことができる。これらを使えばフォーマットをゼロから作る必要がない。部活のミーティングでは、野球グラウンドのテンプレートを使ってポジションを書き込み、戦略を練るなど、チーム全体の共通理解にとても重宝したという。
また、「SIAA認証の抗菌ガラス」「空気品質センサー」「アイケアソリューション」など健康に配慮した機能もBenQならではの特長だ。小学校からタブレット導入などがはじまり、生徒の目の疲れや視力低下が早まる危惧を個人的に感じるという河内教諭。特にブルーライトカットの機能が教育機関には有り難いと評価する。
実はコンピュータなどが苦手だという河内教諭。しかし、電子黒板 「RP6502」はICT機器に馴染みがなくても直感的で使いやすいと安心の表情を浮かべる。同校に6人いる体育教諭のうち、トライアルで電子黒板を使ったのは3人。トライアル後も電子黒板が欲しいと一様に感じているのだという。体育の授業はこれから球技がメインになるが、電子黒板の活用イメージを既に描いて意欲的な様子の河内教諭。生徒が自ら課題を見出し、改善に取り組めるような主体性を育むツールとして、同校での電子黒板の活用はますます広がりを見せそうだ。
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