そこに秘められたドラマをあなたはまだ知らない
箱根駅伝以上に面白いのは箱根駅伝予選会だ。
40校あまりが出場し、10人の合計タイムで競い、本戦への出場権を上位10校が手にするレース。1秒の差が天国と地獄を分ける日。
男30歳の悔し泣き。去年の箱根駅伝予選会、今井隆生はそこにいた。
監督ではない。駿河台大学の選手だ。おととしまでは中学校の先生で、保健体育を教えていた。しかし生徒の指導で壁にぶつかり学び直すと決めた。
大学3年に編入し心理学を専攻。駅伝では無名の大学から箱根を目指すと決めた。
31歳、4年生の今、次が最後の挑戦。年の離れた仲間を先頭で引っ張っている。面倒見はいい。元教師の性分が至る所で出る。
31歳の4年生、今井の役目
若者が見過ごしがちな細やかなこと。それを見つけるのが今井の役目。選手同士のマッサージも今井らの働きかけでするようになった。
駅伝はチームスポーツ。いい空気が好タイムを作る。
予選会キーマンの一人、4年生の入江。今井との出会いが、彼の競技人生を変えた。
今井は元トライアスロン選手。そこで得た調整法のノウハウを入江に伝えていたのだ。これはほんの一例で今井の影響は実に大きい。
入江は高校時代、全く無名。かつては予選会のメンバー入りなど考えられなかったが、最近急成長してきた。
人の運命は人との縁で決まるもの。伸びた入江。彼の走りがチームの命運を握っている。
箱根駅伝本戦へ
6月、チームの力を試す絶好の機会がやってきた。
全日本大学駅伝の予選会。上位7校が本戦に進む駿河台大学は過去17位が最高順位。
結果は、今井が健闘をみせ8位。箱根駅伝予選会へ大きく弾みをつけた。
予選会3週前、出場メンバーを決める選考レースが行なわれた。あらためて言うが箱根駅伝予選会は10人の合計タイムで争う。そのためチームの9番手、10番手の選手が鍵を握ることになる。
今井は快走を見せ、チーム2位と期待通り。入江は9位と健闘し初めてメンバーに選ばれた。
10月23日、自衛隊立川駐屯地で行われた箱根駅伝予選会で、駿河台大学は見事8位に入り念願の箱根駅伝本戦への出場権を獲得した。
31歳と22歳。集まった様々な才能が箱根を熱くする。
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