気象台が編集「はれるんマガジン」 天気や防災知識、分かりやすく(毎日新聞) – Yahoo!ニュース – Yahoo!ニュース

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毎日新聞

 福岡管区気象台(福岡市)が気象や地震に関する疑問に分かりやすく答える読み物「はれるんマガジン」をインターネットで公開している。小中学校向けの防災教育を支援するのが主な目的だが、一般市民も気象台のホームページで気軽に読むことができ、気象や防災に関して役立つ知識が得られる。気象台は「もしもの時の備えを」と、積極的な活用を呼びかけている。【山崎あずさ】

 はれるんマガジンは、2013年7月に創刊された前身の「はれるん通信」時代も含めて9年目を迎え、計88号が発行された。当初は小学生が対象で、複数の話題を壁新聞風に盛り込んでいたが、防災教育に役立ててもらおうと、19年1月にリニューアルした。小中学校の先生が活用することを想定しているが、理科を専門としていない教師も読みやすいようにA4判2ページに収まる分量にまとめた。年9回発行している。

 毎回、気象などに関する一つの疑問を取り上げ、それに答える形で話題を展開する。例えば、19年10月号では「雨が降りそうなとき、雲が灰色や黒っぽいのはどうして?」の問いに、「雲粒や雨粒をたくさん含んだ雨雲は光を通しにくいから」と回答。黒っぽい雲が大粒の雨を急にもたらすこともあり、普段から雨が降りそうな雲かどうか注意するよう促した。ほかにも、日本一の干満差がある有明海や、天気のいい日に道路に水たまりがあるように見える「逃げ水」、近くに火山がないのに温泉が湧く現象などについても取り上げた。

 19年から執筆を担当している同気象台防災調査課の新出(しんで)隆宏・防災情報管理係長(50)は「『なぜ日本には四季があるの?』『なぜ晴れた日に霜が降りるの?』など、小中学生が興味を持つきっかけになるような内容を選んでいる。自分の言葉で柔らかい表現を使い、手紙感覚で読めるよう意識している」。

 実際に起きた災害も取り上げている。今年7月号の「夏の入道雲で注意すること」では、08年7月に神戸市の都賀(とが)川の上流で短時間に大雨が降り、下流で急激に増水して5人が犠牲になった事故を掲載した。20年9月号では竜巻を特集。竜巻が通過する時に「通りにあった車が、2階の高さまで浮き上がって落ちた」「畑から大根が抜き取られて舞い上がった」など過去の証言を紹介した。

 気象台ではマガジンを活用している学校数を具体的に把握していないが、福岡市教育委員会の担当者は「印刷して校内に張り出している学校もあるようだ」と話す。小学6年の時に気象予報士の資格を取得した、同市立百道中1年の島田有吾さん(12)は「話題が面白くて分かりやすく、小学校高学年でも読めそう。身近な問題を取り上げているので興味を持ってもらえるのでは」と評価した。

 宮崎県延岡市立延岡中では給食の時間に天気に関する話題を毎日校内放送している。10月上旬に鹿児島と宮崎で震度4の地震が発生。後日、マガジンに掲載された内容を参考に、マグニチュードが1増えるとエネルギーが約30倍になることを放送したという。延岡中の担当教諭は「理科の授業で学ぶことを子どもたちがさらに深く知りたくなる内容だ」。

 九州では毎年のように豪雨などの災害が起きている。災害から身を守る時、まずはどんな現象なのか知ることが大切だ。新出さんは「一つ一つの自然現象を理解した上で総合的に考えてもらい、行く行くは防災意識の向上に役立ててほしい」と期待している。

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