都構想が実現すれば、大阪の子どもたちの教育はどう変わるのか。大阪市教育委員会は、新たに誕生する四つの特別区ごとに「きめ細かな教育ができる」と触れ込む。一方で、「むしろ格差を生むのでは」といった不安の声も。教育行政のかじ取りは、より一層の慎重さが求められる。(長富由希子)
9月中旬の休日。大阪市内の中学校で、市立学校の教員になるための保健体育の実技試験があった。受験生たちが水泳のクロールやマット運動をする姿に、採点者が目を凝らしていた。
大阪市教育委員会は毎年、市立小中高校の教員を700人程度、一括採用している。赴任校は、欠員状況などで市教委が決めている。
住民投票で都構想が可決されて大阪市が廃止されれば、4特別区に区教委ができる。松井一郎市長らは「きめ細かな教育現場態勢を作れる」と説明する。採用も特別区ごとになり、異動も特別区内に限ることを想定している。市教委は「英語の有資格者を採用試験で優遇するなど、特別区ごとに必要な人材を採用できるようになる」と説明する。
一方、懸念も出ている。市議会の8月の教育こども委員会で、自民党のある市議は、「この区は好き」「あの区は嫌い」という感情を抱く人も少なくないことを指摘した上で、こう訴えた。「(教員採用試験の)受験者数に偏りが出るのではないか。各区の教育水準に大きな偏りが生じる恐れがある」
市教委は、各特別区が特色をPRするなどして「募集人員の確保に努めていく」と答弁。その一方で、いずれは4特別区で協議会を作って、現在の一括採用に似た「共同採用」も検討していく考えを示した。
この市議は言う。「この時期になっても具体的な姿が見えない。市民が都構想に賛成するか反対するかの判断材料がないのは問題だ」
「教育の質、中長期的には……」
新しい教員採用の方法によって…
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