約50万人が受験する大学入学共通テストを1カ月前倒しすべきか否か――。2025年に向けた大学入試改革の議論は共通テストへの英語民間試験と記述式問題の導入断念という形で決着した。ただ、積み残しになった論点もある。その一つがテストの実施時期。教育活動への悪影響を懸念する高校側と、共通テストの活用幅を広げたい私立大の間で綱引きが続いてきた「古くて新しい問題」だ。杉本悦郎・全国高校長協会長(東京都立小金井北高校長)と芝井敬司・日本私立大学連盟常務理事(関西大理事長)に主張を聞いた。【大久保昂】
「高校教育へのしわ寄せは本末転倒」
杉本悦郎・全国高校長協会長
共通テストの時期の問題は既に決着している話だ。前倒しの可能性を蒸し返すこと自体が理解できない。
共通テストの起源である「共通1次試験」は1978年度に始まったが、当初は12月下旬に実施する方向で調整が進んでいた。だが、高校側が問題点を指摘し、国会での論戦も経て1月に落ち着いた経緯がある。共通1次はその後、「大学入試センター試験」「共通テスト」と名称こそ変わったものの、実施時期は動かさなかった。早めた場合、高校教育に負の影響が及ぶことが明らかだからだ。
まず、…
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