新人教員、試行錯誤の1学期 密避け授業、リモート研修… 制約下で奮闘 – 熊本日日新聞

 前を向いて食べる給食。毎朝の体温測定。リモート研修-。新型コロナウイルスの感染拡大で、学校現場は様変わりした。さまざまな制約の中で、熊本県内の新人教員たちも試行錯誤の1学期を過ごした。奮闘を支えるのは「生徒の学びを守りたい」という使命感だ。

 熊本県荒尾市の中学校に赴任した坂梨泰成さん(23)は国語の教員。この日は1年生のクラスで指示語を教えていた。マスク姿であることを除けばコロナ前と同じ授業風景に見えるが、密を避けるため「生徒同士で議論する『グループワーク』があまりできないのが悩み」と坂梨さん。

 「発言が苦手な生徒の声を授業に反映させたい」と、自分の意見や教室での気付きを記入するワークシートを配るようにした。机の間を歩き、書かれた意見を紹介している。

 教壇に立って4カ月。体力的にはきついが「『先生の授業で国語が好きになった』と言われ、うれしかった」と坂梨さん。「ゲームや言葉遊びも取り入れ、楽しく学べる授業をしたい」

 熊本市の中学校で理科を教えている松本直也さん(24)は、今の学校に来て2年目。昨春は、ビデオ会議システム「Zoom」で授業をした。生徒の反応を捉えるのが難しく、電子黒板にクラス全員の顔を映し出すよう工夫した。「いざという時はオンラインでも授業ができると自信になった」と松本さん。

 一方で、実験や観察など対面でしかできない授業の大切さを痛感した。今は接触を減らすなど、感染対策をしながらの授業だが「生徒の反応や熱気にやりがいを感じます」。

 コロナ禍の影響は授業だけではない。研修はオンラインが主流になり、教員同士の交流も減ったことへの不安の声も聞かれた。

 合志市の支援学校に着任した四ツ村成美さん(25)は「困った時、悩んだ時に助け合える関係をつくりたい」と打ち明ける。少人数での水泳を教えるなど知恵を絞りながら「他校の実践をもっと学びたい」と話す。

 県教委と熊本市教委によると、今春採用の小、中、高校と支援学校の教員は535人。学生時代から、オンライン授業や教育実習の延期など、コロナ禍の影響を受けた世代だ。

 「経験のない課題に直面し、教員の仕事の大変さ、つらさを実感していると思う」と熊本大教育学部の藤田豊学部長。「自信と誇りを持って子どもたちと一緒に新たな学び、新たな教育の形をつくっていってほしい」とエールを送る。(上野史央里、枝村美咲)

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