コロナ禍のため1年ぶりとなった「千葉私立中学進学フェア」が6月20日、千葉工業大学津田沼キャンパス(千葉県習志野市)で開かれ、参加23校が一堂に会して、それぞれの特色と魅力をアピールした。来場者は約2200組6600人と例年を上回ったが、事前予約制で入場者を1時間ごとに500組限定とし、会場入り口での手指消毒、検温を徹底するなど万全の感染対策を施した。
久しぶりの対面での進路相談に手ごたえと喜びの声
同フェアは例年、千葉工業大学の津田沼キャンパスの6号館を会場として開催され、5000~6000人の受験者、保護者らを迎えてにぎわう。しかし、昨年はコロナ禍のため中止となり、今年も感染対策に神経をとがらせての開催となった。
「密」を避けるため、例年行われていた、大教室を使ってのセミナーや、吹奏楽部の演奏などの部活紹介、模擬授業、識者の講演会などの開催は見送られた。さらに、6号館への入場は事前予約で1時間ごとに500組と限定し、2時間以内で退出するルールを設けた。入場時間をはっきりさせるため、来場者には胸に入場可能時間を記したシールを貼ってもらった。さらに、進路相談の希望者が多い学校では整理券を配るなどの工夫も見られた。
また、例年は1教室に3、4校がブースを開設して個別進学相談を行なってきたが、今年は「密」を避けるために1教室1校とし、教室ごとに感染対策を工夫した。教師達はフェースシールドやマスクを着用し、使用する椅子や机の間隔を1席分空けたり、相談者との間をアクリル板で仕切ったりして面談に臨んでいた。
フェア全体でのPR活動を多く割愛した分、個別進学相談には工夫が凝らされた。教室内ではプロジェクターを使った映像による学校紹介や、過去問題の配布、ミニ体験授業などが行われ、教室の外の廊下でも、制服のミニチュア、学校のポスター、実際の授業での課題や作品が展示され、足を止めて熱心に見入る受験生、保護者らの姿が多く見られた。
千葉明徳中学校(千葉市)は、教室内で理科、英語、技術のミニ体験授業を行っていた。特にタブレットを使ってロボットをプログラミングする技術の体験授業が人気で、先生たちに盛んに質問し、積極的に取り組む子供たちの姿が多く見られた。同校の先生は、「昨年はイベントの開催がなかった事も重なり、なかなか学校の周知ができませんでした。千葉県の私立中学校が一度にこんなに集まるイベントはほかにはありません。今まで我々を知らなかった人たちにも知っていただく大切な機会です」と話した。
また、二松学舎大学付属柏中学校(柏市)の相談には、2022年度から始まる二つの新コースに関して聞きに来る受験生、保護者が多かった。教室外の廊下に置いたパンフレットも午前中になくなり、急きょパンフレットを追加したという。
同校の先生は、「昨年はリモートやオンラインでの説明会が多かった一年でしたが、新コースや入試が新しくなることで不安に思われている親御さんやお子さん達が多くいらっしゃいます。もちろん感染対策は怠らずですが、学校の生の声を届け、納得して帰っていただくことができてよかったです」と手応えを語った。
今回初めてフェアを訪れた小学5年生の子供を持つ母親は「受験は初めてで全く様子が分からないなか参加しましたが、それぞれの学校の雰囲気を肌で感じ、受験へのモチベーションが上がりました」と話した。また、個別進学相談をした父親は「先生たちの声が直接聞けたのがよかったです。パンフレットやホームページ上だけでは分からない学校の雰囲気を感じることができました」とし、一緒に来ていた小学5年生の娘は「行きたいと思っていた学校以外もたくさん見られて楽しかったです。ほかの学校の事も知ってみたいなと思いました」と期待に胸を膨らませていた。
(文・写真:熊谷那美)
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