自分も相手も大切にできる「性的自己決定能力」を育む中学生向けの性教育カリキュラム開発事業が宇和島市で進んでいる。モデル校の城南中学校(同市文京町)でこのほど、外部講師を招いた公開授業があり、1年生が思春期の心と体の変化について学びを深めた。
事業は「こころまじわうプロジェクト」と名付け、市内中学校や市、愛媛大などが協力し取り組んでいる。城南中の山本浅幸校長は「宇和島では系統だった性教育が行われなくなっており、18歳未満の出産率が高く、中には『望まない妊娠』もある」とし、性的自己決定能力を育てる教育の必要性を訴える。
7月15日の公開授業では、性教育に長年取り組んできた元小学校教員の菊池準子さん(松山市)が64人に講話した。性別違和や性役割の押し付け、性差別など性別に関するさまざまな問題に触れ、思春期に働き始める性器の機能や妊娠の仕組みなどを分かりやすく説明した。
「性を学ばないままだと誤った情報に流され、人や自分が傷つくことに使ってしまう」と菊池さん。「自分自身がどうなってもいいと思っていると、互いが幸せになる恋愛や性の触れ合いはできない。自分も相手も大切にできる行動を選んでほしい」と力を込めた。生徒は真剣な表情で聞き入り、性を学ぶ意味についてクラスで意見を出し合った。
同校は本年度、専門家の講話や学活などの時間を使った生徒同士の話し合いを実施。発達段階に応じ、各学年で理科や保健体育、技術家庭科などでも関連授業を実施していく。取り組みを基に作成したカリキュラムを2021年度に市内全6校で導入する予定。
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