性差別懸念、適性重視に 県立中2校の男女別募集枠廃止 – goo.ne.jp

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性差別懸念、適性重視に 県立中2校の男女別募集枠廃止

県教委が21日に公表した22年度県立中入試の資料。募集定員の「男女同数を基本とする」との項目が削除された

(中日新聞Web)

 県教委は、県立中学校2校の入試で男女別の募集枠を2022年度から廃止する方針を決めた。男女別に同数の定員を設けていたが、受験者数によって男女の合格率に違いが生じてきたため、性差別と指摘されかねない状況にあった。適性や能力を重視する入試に方向転換する。

 男女別募集枠が廃止されるのは、諏訪清陵高校付属中(諏訪市)と屋代高校付属中(千曲市)。

 県教委によると、両校とも二一年度は男女各四十人を募集。受験者数は諏訪清陵付が男子九十一人、女子九十三人、屋代付が男子百二十七人、女子が百二十五人だった。県教委は合格率を公表していないが、受験者数を定員で割ると諏訪清陵付の男子は43・95%、女子は43・01%、屋代付の男子は31・49%、女子は32・00%だった。だが、過去の入試では男女で差が開いたケースが見られた。

 両校とも約十年前の開校時から男女別の募集枠を導入。県教委高校教育課の担当者は「現状では性差で受験時に有利、不利が生まれる恐れがある」と問題点を認める。

 県教委は二〇年度、生まれたときの性別と自身の性の認識(性自認)が異なる性的少数者(LGBT)らへの配慮として、入学願書に設けていた性別記入欄を廃止した。こうした状況下では男女別の募集枠を設ける必要性もないと判断し、「男女の区別なく適性の認められた者を選抜する」(担当者)方針に転じた。

 「男女別」の入試では、佐賀県も二二年度から県立中四校で男女別の募集枠を廃止にした。

 佐賀県教委によると、最初の一校が創設された〇三年度から〇九年度まで募集枠は男女別にしていなかったが、学校側から「女子が極端に多くなるクラスができて男子が萎縮する」などと問題点が指摘され、一〇年度から男女別を導入していた。ただ、大学医学部の入試で男子が有利になるよう得点を水増しするなどの不正に批判が集まり、二〇年度から廃止の検討を始め、今年四月に正式に方針決定したという。

 ジェンダー問題に詳しい日本女性学習財団の村松泰子理事長(77)は「男女別の募集をやめるのは今や全国的な流れだ」と指摘。長野県教委の対応について「性別を問わず教育機会は均等に担保すべきで、男女で合格率が変わるのは問題だった。廃止は評価できる」と語った。

 (我那覇圭、今坂直暉)

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