【入試問題は学校からのラブレター】
少子化にもかかわらず、中学受験は都市部を中心にますます過熱しています。多くのお子さんが進学塾に通うのは、志望校の入試問題に対応できる応用力を身につけるためです。学校ごとに特色があり、毎年、出題傾向が明確になっているところがほとんどです。入試問題は、「こうしたお子さんに入学してほしい」という学校からのラブレターだと私はとらえています。
中学受験の現場 理科や社会科のノートがきれいな子の成績が振るわない理由
近年、入試問題の出題傾向が、大きく変わろうとしています。現在も、進学塾で行われる受験対策は、短い制限時間の中で大量の問題を解くのに必要な知識、処理能力を養うことに主眼を置いたものになっています。それが少し変化を始めたように感じています。
変化のきっかけは、大学入試改革です。今年、大学センター試験が大学共通試験という名称に変わり、今後、出題される問題は「思考力・判断力・表現力」重視の方向がより強くなっていくはずです。
中学校の入試問題は、大学入試改革に先取りする形で変化が起ころうとしています。これまでの暗記偏重型から、思考力、判断力、表現力を問われるものにシフトしていく、ということになります。
この変化に進学塾はどう対応するのか、受験生はどうすれば対応できるのかについて、お話ししていこうと思います。
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開成、麻布といった最難関校では、何十年も前からすでに思考力、判断力、表現力が問われる問題が出題されています。最難関校を見本に入試問題を改革していく学校が、今後増えていくと思われます。
慶応普通部など記述問題を出さない学校も一部ありますが、ここ最近では、栄光、聖光といった神奈川のトップ校や、渋谷教育学園渋谷、渋谷教育学園幕張、海城、豊島岡女子、浦和明の星、芝、本郷、世田谷学園、吉祥女子、鴎友といった進学校で、この傾向を強めています。
算数でいえば、つるかめ算や倍数算といったタイプ分けができる特殊算の出題が減り、特定の公式だけでは答えが導き出せず、その場で考えたり、書き出したりしないと解けない問題が増えていくでしょう。理科にもこの傾向が出ていて、高校レベルの生物の問題が、小学生でも理解できるやさしい言葉に言い換えた長文で出題されたりしています。
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