日本財団パラリンピックサポートセンターは4月27日、東京都と千葉県の小中学校、特別支援学校を対象に行った、パラリンピック教育の実施状況に関する調査の結果をオンラインで報告した。パラリンピック教育の実施校は8割以上を占めた一方で、学習時間の確保や授業準備の負担などの課題も多く挙がり、東京大会のレガシーとして学校現場に根付かせていくには、多くのハードルがあることが指摘された。

同調査は2019年11月6日~12月10日にアンケートを実施。合わせて、20年2月14日~3月30日に、18校の教員にインタビューも行った。アンケートの有効回収数は1779件だった。

その結果によると、パラリンピック教育を実施したと回答した学校は全体の80.8%で、校種別にみると▽小学校 82.8%▽中学校 75.7%▽特別支援学校 95.5%――だった。パラリンピック教育を実施した理由を複数回答で尋ねると、全ての学校で「東京大会が開催されるため」が最も高かった。

パラリンピック教育を実施する上での課題(複数回答)

具体的な内容を見ると、小学校ではパラリンピック選手の講演やスポーツ交流などの出前授業と、通常授業のいずれもバランスよく取り上げられている一方、中学校では出前授業の割合が比較的高く、特別支援学校では通常授業の中で、実技を行う割合が高いなどの傾向が見られた。また、中学校では保健体育の教員が担当するケースが圧倒的に高く、全ての校種で体育・保健体育や総合的な学習の時間で行われている割合が高かった。

パラリンピック教育を実施する際に困難だったことについて尋ねると、「学習の時間を確保するのが難しかった」や「授業準備の負担が大きかった」といった問題のほかに、予算の確保や必要な用具の確保などを挙げる声も目立った。

主にインタビューを担当した渡正・順天堂大学スポーツ健康科学部准教授は、教員へのインタビュー内容の分析を踏まえ、「パラリンピック教育で何を学ぶのかといった目的のあいまいさや評価の難しさが、学校の年間指導計画に位置付けることを難しくしており、そのことが予算の確保や教員の負担にもつながっている」と指摘。「パラリンピック教育をレガシーとするためには、自治体や外部からの協力が重要になる。学校の特色や校風とパラリンピック教育との関連性を持たせることや、管理職の理解も必要だ」と話した。