スポーツ少年団でのクラスター(感染者集団)をきっかけに、市内の全6小学校を17~24日、臨時休校とした和歌山県岩出市。各校や市教委は休校中、教材の入ったタブレット端末の活用や図書館の電子図書の利用など、いろいろな方法で児童が学習できるように取り組んでいる。

 中央小学校では20日、朝のホームルームや国語と算数の授業に加え、健康観察を児童一人一人に配布したタブレット端末を使って、オンラインで実施した。

 山崎北小ではタブレット端末を児童に自宅で使ってもらうために17日から各家庭に車で学校まで来てもらい、接触を避けるために乗車したままの「ドライブスルー」形式で配布した。

 根来小学校では14日に自宅に持ち帰らせたタブレット端末を通して学校が再開するまでの宿題を出している。19日にはオンラインによる健康観察を行った。その一方で、社会や理科などの問題をプリントした用紙は教員が各家庭のポストに投函(とうかん)。書いて覚えることにも配慮した。

 ただ、課題も見つかっている。根来小の柏木香三校長は「各家庭でWiFi環境を整えているが、親がいなければ子どもだけでつなぐことができなかったり、両親が仕事で預けられた祖父母宅にWiFiが整備されていなかったりして、今回やってみて気づいたことが多い」と話す。

 市は、ICT(情報通信技術)教育を推進する国の方針に沿って、昨年3月からすべての小中学校にタブレット端末を導入。市教委の南智明次長は「一斉に休学となり、保護者や児童に迷惑をかけるが、ふだんから取り組むICTの活用が生きた」と話す。

 市教委は市立岩出図書館に行かなくても貸し出しや返却ができる電子図書館「いわでe-Library」の利用を呼びかけている。この制度もコロナ禍の2020年12月に導入された。児童には小学校の入学と同時に利用者IDが発行されている。

 同図書館の入り口では職員が利用者に対して、「市内の全小学校で休校になっているため、座って本を読むことは遠慮いただいている」と声かけしていた。18日、図書館を訪れた2年生の女子児童は「1年生の時も休みになって、また休みで早く学校に行きたい」。母親は「仕事している親は休まなくてはならないので大変。子どもの勉強面の不安もある」と話した。(高田純一)

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