三重大学付属の小中学校などで教員に労使協定を超える範囲で時間外労働をさせていたとして、大学が労働基準監督署から是正勧告を受けた問題を受け、付属中学校では、長時間労働の主な要因の1つになっている部活動で、地域住民や保護者の協力を得るなどして、時間外の勤務を減らすことを検討していることがわかりました。
三重大学では平成16年の法人化で支払うことが義務づけられた時間外勤務の割増賃金について、付属の小中学校などの約90人の教員に対し17年間に渡って支払っていなかったり、労使協定の範囲を超えた時間外労働をさせていたりしたとして、去年11月、津労働基準監督署から是正勧告を受けました。
これを受けて学校では業務の見直しを進めていて、部活動での指導が、教員の時間外労働が多くなる主な要因の1つとなっていることから、緊急の措置として12月から付属中学校の部活動を全面休止としていました。
大学によりますと、保護者と協議などの結果、担当の教員を増やし長時間労働にならないよう配慮しながら来週から順次、部活動を再開していくことになったということです。
また負担軽減につなげようと、教員の代わりに保護者や地域住民が部活の指導にあたることも、保護者などと協議しながら検討するとしています。
三重大学企画総務部の中湖博則部長は「教員の長時間労働にならない部活のあり方を検討していきたい」と話しています。
教員の働き方や部活動に詳しい名古屋大学大学院の内田良准教授は「教員の長時間労働が解消しない状況が長く続いている中で、全面的な休止を決めたのは教員の働き方改革の観点からこれまでにない動き出しだと思う。一方で子どもたちのスポーツや文化活動が失われるのは残念なことで議論が必要だ」と話しています。
そのうえで、「部活動を教員だけでなく地域の人も含めてやれる人、やりたい人で回していき、子どもたちの機会も保障する『持続可能な部活動』のあり方を考えていくことが必要だ。その新しい姿が見えてくることを期待したいし社会全体で考えていくきっかけになってほしい」と話していました。
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