「何歳から?どうやって?」避妊について親が子に伝える“正しい”タイミング(ダイヤモンド・オンライン) – Yahoo!ニュース – Yahoo!ニュース

「何歳から?どうやって?」避妊について親が子に伝える“正しい”タイミング(ダイヤモンド・オンライン)-–-yahoo!ニュース-–-yahoo!ニュース 基本問題

ダイヤモンド・オンライン

 日本の性教育が遅れていることは、この連載の第1回目『「性産業先進国」の日本で、性教育がまともに行われないワケ』に取り上げた通りだが、避妊について教える時期を比較しても、その遅れは顕著だ。

 例えば、性教育が進んでいると言われているオランダは、初等教育の最高学年時(12歳頃)に避妊について教えているほか、イギリスでは中等教育時(11歳~14歳)の生物学で取り上げている。

 また、東アジアでは、韓国が中学校の技術家庭という科目で教えており、中国では、小学校6年生時に「性健康教育」の教科書を貸し出している。

 では、日本はどうか。

 今回は、避妊教育について取り上げようと思う。

● 愛情・親密表現の最高峰 =セックス(インサート)は誤解

 日本では、高校の保健体育の授業で避妊について学ぶようだ。

 教科書によって取り上げ方は多少違うが、例えば大修館書店と第一学習社の保健体育の教科書は、「家族計画と人工妊娠中絶」というところで避妊や人工妊娠中絶について取り上げられており、コンドームや低用量ピルの特徴、不妊問題についても少しだが触れられている。

 高校で学ぶことについて、「遅い」と感じた人で幼い子を持つ親なら、「高校で学ぶ以前に、家庭で教えられないだろうか?」と考えるかもしれない。

 しかし、どう伝えるのが正解なのだろうか。

 『おうち性教育はじめます 一番やさしい!防犯・SEX・命の伝え方』(KADOKAWA)の著者の一人である村瀬幸浩氏は、こうアドバイスする。

 「避妊のことを話す前に、愛情表現について話すことをおすすめします。多くの大人は、『愛情や親密表現の最高峰=セックス』と思いがちですが、ぜひ、ほかの形で伝わる愛情表現についても考えてみてほしいです」

 愛情表現とは、例えば、見つめ合ったり微笑み合ったり頷きあったりするなど、「視線を交わす」。家族や友人、趣味や将来の夢、学校や社会のことなど、「言葉を交わす」。なでたりさすったり、寄り添ったり手をつないだりハグしたりなど、「優しく触れ合う」など。これらも立派な愛情表現だが、「愛情・親密表現の最高峰=セックス(インサート)」と思い込んでいる大人、特に男性は少なくない。

 なぜなら、私たちの身近なところにある性情報は、ほとんど男性に向けたものであり、「愛情・親密表現の最高峰=セックス(インサート)」と、「オーガズム至上主義」というメッセージが溢れているからだ。

 その結果、「愛情・親密表現の最高峰=セックス(インサート)」は、「好意を表すためには、セックス(インサート)しなければならない」「相手のことが好きなら、セックス(インサート)に応じなければならない」という考え方や強迫観念、「オーガズム至上主義」は、男性は「女性をイかせなきゃ価値がない」、女性は「イかなきゃ価値がない」という考え方や強迫観念を抱く人を増やしてきた。

 だがそもそも、2人の親密さを示す愛情表現に、「最高峰」や「唯一無二」などない。

 「インサート以外のふれあいや言葉でのコミュニケーションは、昔流に言うと、『前戯』といって『本番』の前座的に扱われてきました。しかし前座などではなく、ふれあいや言葉でのコミュニケーションのひとつひとつが、『性的ふれあい』として、セックスやインサートと同等に大切なものです。愛情は、そのときの2人の関係や状況、気持ちに合わせて、セックスやインサートなしでも十分に示せると思います」

 そう村瀬氏が話すように、セックスもインサートもオーガズムも、多様な「性的ふれあい」のバリエーションのひとつでしかない。

 想像してみてほしい。セックスが「最高峰」なら、いわゆる前戯も後戯もなく、「セックスだけしておしまい」で満たされるだろうか。好きな相手とハグしたり、十分に語り合う時間を設けるだけで、心が温かくなった経験のある人は少なくないはずだ。

● 思春期の子どもはセックスへの『興味』を 『愛』と勘違いしがち

 とはいえ、現状私たちの身近なところにある、特に男性向けの性情報には、「愛情・親密表現の最高峰=セックス(インサート)」と、「オーガズム至上主義」というメッセージが溢れている。思春期を迎え、性行為に対して興味津々な子どもたちに避妊について伝えるには、どうしたら良いのだろうか。

 村瀬氏は、「思春期は、セックスへの『興味』を、『愛』だと勘違いしてしまいがちな時期でもあるのです。だからこそ、愛情表現の話をした上で、こう伝えてみてほしい」と言う。

 (1)セックス以外にも愛情表現はたくさんある
(2)それでもどうしてもセックスをしたいなら、妊娠の可能性をなくすために、正しい知識で避妊をすることが大切
(3)男女は平等だけど、セックスの結果として受け取るものは平等ではなく、妊娠や中絶は女の子の心と体にとても大きな負担がかかる
(4)性にまつわる病気も、体の仕組みとして、女の子のほうがはるかにリスクが高い
(5)万が一そういったトラブルが起きると、2人の間に失望や憎しみ、罪悪感が生まれて、悲しい関係になってしまうことが多い
(6)自分と相手の心と体を大切に思っているなら、避妊について相手に伝えることも、話し合うこともできるはずだし、相手も聞いてくれるはず。それができないなら、お互いにとってセックスはまだ早いのではないか
(7)私はあなた(子ども)に、幸せに生きてほしいと思っている

 「『セックスする』という愛情表現しか知らないのは貧しいことです。愛情表現は多様であってこそ価値があることに気づいてほしい。でないと、妊娠のリスクを負えない若い世代や、インサートが難しくなる高齢世代が、性的ふれあいから切り離されてしまいますから」(村瀬氏)

 「愛情・親密表現の最高峰=セックス(インサート)」「オーガズム至上主義」という性情報に振り回された大人たちは、自分で自分の首を絞めることになりかねない。男性の勃起障害や女性の性嫌悪性、セックスレスなどは、その弊害ではないだろうか。

 村瀬氏が、「避妊は、性関係を持つ上で『最低条件のひとつ』」と話すように、避妊について話し合うことや、取り組むことができないなら、セックスをおこなうべきではない。真剣に避妊について語り合えない間柄なら、「セックスはまだ早い」ということだ。

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