【過去問の徹底活用法】冬休みの学習法で差をつける! 教科別に取り組み方ポイントを解説|ベネッセ教育情報サイト – Benesse 教育情報サイト

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中3の冬休みは、受験勉強にまとまった時間が取れる最後のチャンス。冬休み中こそ取り組んでほしいのが、過去の入試問題(過去問)です。過去問には苦手を克服し、思考力をアップするエッセンスが詰まっています。入試問題からスポンジのようにエッセンスを吸収することで、短期間で合格力を伸ばすことができるのです。

進研ゼミ高校受験総合情報センター長である浅野剛が、入試問題を徹底活用した学習法についてお話しします。

入試問題には中学の学習のエッセンスが詰まっている

冬休みが明けると、受験生がいるご家庭は非常に忙しくなります。中学校の先生との相談や出願書類の記入などで、気分的にも余裕がなくなりがちなのです。まとまった時間が取れる冬休みこそ、腰を据えて思考力アップや苦手克服に取り組んでほしいですね。特におすすめしたいのが、過去問など、入試問題を中心とした問題演習です。

入試過去問題は中学の学習の集大成

過去問のポイントは、「入試に同じ問題は出ないけれど、同じような問題は出る」ことです。次の入試でも出題される可能性の高い基礎事項がぎっしり詰まっている。ある意味、中学の学習の「集大成」ともいえる問題なのです。

まず5年分!解き直しまでしっかり取り組む

ですから、単に解いてみてマル、バツをつけるだけではもったいない。できなかった問題を解き直すのはもちろん、「この入試問題を材料にして実力をつける!」という気構えで、隅々まで活用していただきたいですね。まずは5年分、最初のうちは時間がかかり,最後まで解けない教科もあるかも知れませんが,試験時間を守って取り組むことが大切です。ここからは教科別に、具体的な活用法を紹介しましょう。

英語・国語は本文も徹底活用!

英語や国語の問題では、出題されている長文や素材文を徹底活用することが重要です。英語の長文では重要な文法事項や語句をチェック、国語の素材文では必ず正解の根拠を探すようにしましょう。

英語の長文は重要語句・文法までチェック

英語の入試問題の長文には、重要な文法事項や語句がふんだんに使われています。問題を解いたら答え合わせをするだけでなく、長文全体をもう一度読み直してみることです。最近の入試問題では長文全体の前後関係をつかまないと、解けない問題が増えています。長文を読み取る力をつけるためには基礎事項も大切ですので、長文中に出てくる重要語句は覚え、文法事項であやふやなところはつぶしていきましょう。

近年は、全体として長文の語数は増える傾向にあり、一文一文の長さも長くなっています。


たとえば、


I learned that ~.


といった文なら、「thatのあとに何を学んだかがくるんだな」というふうに、長い文はどこで切れて、どこがどこを修飾しているか理解しながら読み進める習慣をつけることが大切です。

国語では正解の根拠を探しにいく癖をつけよう

国語も素材文全体をしっかり復習しましょう。国語が苦手な子にありがちなのが、文章をよく読まずに感覚で答えてしまい、解答・解説を読んで「ふーん、正解はイなのか」となんとなく納得するだけ、というパターン。「文章の中に正解となる根拠を探しにいく」癖をつけないと、読解力はついてきません。

説明的文章なら、「ここまでが導入で、ここからが本論、ここで具体例を出して、最後に結論だな」というふうに、大きな構造を考えながら読み進める必要があります。文学的文章なら5W1Hを意識し、描写や会話にも注意を向けながら読み進めます。

問題を解いて解説を読んだら、読みっぱなしにしないこと。必ず文章に戻って「なるほど、この部分にこういう記述があるから、これが正解なんだな」というふうに「根拠をつきとめる」習慣をつけていきましょう。

数学は「類題が解ける思考力」を目指す

数学の入試問題でも、思考力が必要とされる問題が増える傾向にあります。冬休みこそ、思考力アップに取り組んでほしいですね。

図形問題は解き直しや類題でパターンをつかむ

たとえば図形の問題。ある程度考えてわからなければ、解答・解説を見て構いませんが、そこで終わりにしないこと。必ず時間をおいて、自分の力で解き直したり、類題に取り組んだりすることが大切です。これを繰り返すと、「こういう問題ではまず相似な三角形がどこにあるか考えればいいんだな」「こんなときは三平方の定理が使えるな」というふうに、考え方のパターンが身に付いてきます。

解き方を説明できれば理解も深まる

また、第三者に解き方を説明できれば、さらに理解が深まります。友達同士で教え合うのもよいですね。もし、保護者のかたが入試問題を見て「難しそうだな」と感じたら、「難しい問題解いてるんだね」「どうやって解くの? ちょっと教えて」などと、お子さまに声をかけてみるのもよいかもしれません。

理科・社会は苦手単元の発見、知識の整理に役立てる

理科や社会が苦手なお子さんの保護者のかたから「中1から全部やり直さなければだめでしょうか」といった相談を受けることがありますが、「最初から全部」やる必要はありません。

過去の入試問題を使った苦手単元の発見と復習

たとえば理科であれば「電流と磁界」「運動とエネルギー」など、自分の苦手な単元を見つけて、一つひとつつぶしていけばいいのです。入試問題を使うと、効率的に苦手単元を発見できます。

入試問題を解いたら、その問題の答えを見るだけでなく、苦手単元全体を復習することが大事です。

たとえば「江戸時代の歴史、ごちゃごちゃになってるな」と思ったら教科書などを使ってその時代の歴史の流れを理解し直すこと。「『国会と内閣』があやふやだな」と気付いたら、自分で説明できるレベルまで復習し直す。他年度の入試問題をやると、同じ内容を別の角度から問われてできなかったり、新たな苦手単元が見つかったりすると思います。きりがなく思えますが、モグラたたきのように苦手つぶしを繰り返していると、確実に力がついてきますよ。

冬休みにじっくり取り組み実力アップ!

過去の入試問題は、「自分がまだできていないこと」「苦手」を教えてくれるものです。苦手を直視し、確実につぶしていくことがもっとも効率的な合格力アップの方法なのです。私はよく受験相談で勉強法のアドバイスを行っているのですが、冬休みに腰を据えて苦手つぶしに取り組み、この時期から志望校の合格可能性をぐっと上げた子は多いですね。

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プロフィール

浅野剛

浅野剛

進研ゼミ 高校受験総合情報センター センター長

元大手進学塾高校入試担当部長、入試情報統括を歴任。30年にわたって受験指導を行い、多数の生徒を志望校に合格させてきた高校受験のエキスパート。現在は、中学生・保護者向けオンラインセミナーの講演をはじめ、中学校での進路講演なども担当。

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