埼玉難関校前受けの理由は「本番慣れ」「模試代わり」「合格して自信をつけさせる」
俳優の柳楽優弥が主演する日本テレビ系連続ドラマ「二月の勝者‐絶対合格の教室-」の最終話が放送されて1週間余り。中学受験生を持つ親にとってはタイムリーなドラマで、年明けから本格化する前受け校受験のリアルも描かれた。
【写真】東浦和駅前で目を引く巨大クリスマスツリーと「おかえりなさい」の看板
(※以下、ドラマとコミックの内容に関する記述があります)
前受け校とは第一志望校に不合格だった場合に備えてすべり止めとして受験する学校のことだ。「二月の勝者」単行本14巻では新米講師の佐倉麻衣が受験生に前受けをさせる理由について「本番慣れ」「模試代わり」「合格して自信をつけさせる」と答えている。
1月早々から入試が始まる埼玉県内の難関校は東京男子御三家の開成、麻布、武蔵、同女子御三家の桜蔭、女子学院、雙葉など超難関校の前受け校として人気を集めている。なかでも女子受験生の間でずば抜けた知名度を誇るのが浦和明の星女子中学(さいたま市緑区)だ。完全中高一貫校のカトリックミッションスクールでJR武蔵野線東浦和駅から徒歩8分ほどの田園地帯に瀟洒(しょうしゃ)な校舎を構えている。ドラマ「二月の勝者」には「宵の星女子中学校」という名の難関校が登場するが、これはもちろん浦和明の星がモデルだ。超難関の桜蔭と豊島園女子(モデルは豊島岡女子学園)に合格した前田花恋やニ葉女子学院(同じく雙葉と女子学院)に合格した直江樹里も宵の星女子(浦和明の星)を前受け受験し合格している。
浦和明の星の22年入試は1月14日(第1回、募集人員120人)と2月4日(第2回、同40人)に実施。試験科目は国語(100点)、算数(100点)、理科・社会(各50点)で面接はない。大手受験塾の四谷大塚がウェブ上で公表している合格可能性80%に必要な偏差値は第1回が65、第2回が63。最終回で紹介された前受け校の中でも超人気校として知られている栄東中学(さいたま市見沼区)が“すべり止めの星”なら、浦和明の星は文字通り女子受験生にとっての“すべり止めの星”だ。
しかし、油断できないのは東京の超難関校を受験する生徒にとって浦和明の星は本当にすべり止めになっているのか、という点だ。
「女子御三家など超難関校に合格した受験生の中でも浦和明の星は不合格だったというケースはよく聞きます。浦和明の星で初めて入試本番を経験する生徒の中には緊張したり体調を崩したりして本来の実力を発揮できないこともあります。また、都心や神奈川方面から向かうと時間が気になります。JR京浜東北線に乗って南浦和駅で武蔵野線に乗り換えて東浦和駅に着くと駅前は閑散としていてマクドナルドが目立つぐらい。ビル街にあるSAPIXや四谷大塚、早稲田アカデミーなどの大手塾に通っていた生徒にとっては不慣れな光景ですし、今後が心配になってしまう親もいます」(元塾講師の大学講師)
実際に同校の説明会に参加した親からは「大学受験についての具体的な方針をもっと聞きたかった」などの声も出ているが、大学合格一覧(21年)を見ると、東大3人、一橋大3人、お茶の水4人、千葉大7人、早稲田62人、慶応32人、上智40人、東京理科大31人と立派な成績を残している。浦和明の星の受験を検討しているのであれば親子そろって同校の下見に行くことが良策と言えそうだ。
ENCOUNT編集部
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