プログラミング教室でつながった中学校ICT教育と旭山動物園(2021年12月24日)|BIGLOBEニュース – BIGLOBEニュース

プログラミング教室でつながった中学校ict教育と旭山動物園(2021年12月24日)|biglobeニュース-–-biglobeニュース 花のつくりとはたらき

旭川市旭山動物園は10月1日から11月23日にかけ、NTT東日本が提供するコミュニケーションロボット「Sota(ソータ)」を活用し、展示施設や動物たちの音声案内を実施した。この「Sota」のプログラムを担当したのは、旭川市立中央中学校 パソコン部の生徒だという。

○北海道の ICTの聖地「ICTパーク」

旭川市は、ICTへの積極的な取り組みを続けている。2021年2月には最新の高性能ゲーミングPCやローカル5G通信環境などが整った新施設「ICTパーク」がオープン。eスポーツのスタジアムや、プログラミング教室の場として活用されている。

2021年8月、そんなICTパークの「スマートイノベーションラボ 北海道 旭川ルーム」において、コミュニケーションロボット「Sota(ソータ)」を活用したプログラミング教室が開催された。中学生を対象としており、「Sota」を自らプログラミングして、旭川市旭山動物園の音声案内等を行うチャットボットを作成するというものだ。

2017年に開園50周年を迎えた旭川市旭山動物園。大都市圏から離れた立地ながら、日本の動物園の中でも高い人気を誇り、ほっきょくぐま館やあざらし館、ぺんぎん館は多くの人で賑わう。プログラミングされたSotaは、旭山動物園 観光情報センター内に設置され、実際に10月1日から11月23日まで使用された。

自治体と中学校、そして動物園、NTT東日本の連携によって実現したこの取り組みについて、旭川市役所の佐々木亮氏、旭川市立中央中学校の重清泰幸氏、旭山動物園の境太一氏、そしてNTT東日本の佐藤優太氏に伺っていきたい。

○中学生がSotaで動物園案内をプログラミング

「ICTに関心の高い人材を育成することを目指しているICTパーク推進協議会では、プログラミング的思考体験を推進しており、定期的にプログラミング教室を開催しています。これまでは主に小学生を対象としたものでしたが、今回は中学生にも対象を広げ、体験の場を提供したいと思いました。そのひとつが『コミュニケーションロボット”Sota”を活用したプログラミング教室』です」(旭川市役所 佐々木氏)。

現在、ICTパークでは中学生向けのプログラミング教室もいくつか開催しているものの、部活との兼ね合いや、小学生と違い保護者が同伴しないこと、校区が広くなることなども相まって、なかなか人が集まらないことが課題のひとつだという。これに対して参加を表明したのが、旭川市立中央中学校のパソコン部だ。

「私が顧問をしているパソコン部の普段の活動は、HSPをメインとしたプログラミングや3Dプリンタの実習などです。コンクールに出場することもありますが、やはりどうしても地味で、子供たちが達成感を感じるまで時間がかかっていました。そんな中オープンしたICTパーク、開催されたプログラミング教室はまさに渡りに船でした。特に昨今はコロナ禍によって発表の場が減少していますので、発表の場があることが子供達にはありがたかったようです」(中央中学校 重清氏)。

プログラミング教室ではNTT東日本が講師を担当し、パソコン部12名が参加。2人一組で「ROBONAVI(ロボナビ)」というアプリを使い、多言語対応ロボットと連携した観光案内のプログラミングが行われた。

「中学生向けのプログラミング教室は、どうしても堅い雰囲気になりがちです。子供たちに興味を持ってもらうことが大切ですので、『楽しくやろう』をなによりも重視しました。今回はICTに慣れたパソコン部のみなさんでしたので、とてもスムーズに授業を進めることができ、こちらも非常に助かりました」(NTT東日本 佐藤氏)。

「パソコン部といえど子供たちのスキルは個々に差がありますので、グループを組ませたことでお互いの良い面を引き出せたのかなと思います。みな口々に『楽しかったー!』と話していたことが一番の収穫です」(中央中学校 重清氏)。

○来園者からも受け入れられたSotaの音声案内

こうして中学生によって観光案内をプログラミングされたSotaは、旭山動物園 観光情報サポートセンター内に設置され、実際に10月1日から11月23日まで使用された。案内される内容は、公式Webページの施設・動物案内に準拠したものとなる。実際に利用した来園者の反応も上々だったようだ。

「お子様は「かわいい」から、大人も『ロボットがあるな』からSotaくんに興味を持っていただき、話しかけてくれました。うまく会話が成立しないこともありましたが、それはそれでコミュニケーションとして楽しまれていたと思います。またロボットの現状に触れることで親子の会話のきっかけにもなっていたようです」(旭山動物園 境氏)。

一方で、音声案内として利用するにあたっての課題も見えてきている。

「コロナ過で来園された方がマスクを着用されていることも相まって、音声認識の精度は決して高いとは言えませんでした。また、正面から話しかける人だけでなく、Sotaくんの後ろにいるスタッフの声も認識してしまいます。この辺りは今後の発展に期待したい面です」(旭山動物園 境氏)。

○取り組みから見えた課題と発展性

子供たちのプログラミング学習を行いつつ、地域社会への貢献も実現した今回の取り組み。「Sota」と「旭山動物園」をかけ合わせることで、子供たちの興味を途切れさせることなく学びへとつなげることに成功したようだ。

だが、NTT東日本、旭川市役所、旭川市立中央中学校、そして旭山動物園は、今回の取り組みを振り返り、さらなる発展を考えているという。それぞれの振り返りと今後の展望、要望について伺ってみたい。

「このたびプログラミング教室の講師をやらせていただきましたが、中学生向けの教室は初めての取り組みということもあり、中学生のレベルが想定できていなかった点がありました。個々のスキルがそれぞれ異なりますし、楽しんでもらうために社会での実装をテーマに個人ワークのような形で進めたのですが、この辺りのタイムスケジュールの調整は今後の教室の課題です。また当日は通信障害も発生してしまいましたので、当社の課題として改善していきたいと思います」(NTT東日本 佐藤氏)。

「ICTパーク推進協議会では”プログラミング的思考”を非常に重視にしており、プログラムを打つだけでは感じることのできない体験をすることを大事にしています。ですが、参加されるお子さんのレベルは初心者から上級者までさまざまです。それぞれのみなさんが飽きずに参加してもらえるような仕組みを構築していくことが、今後の課題かと思います」(旭川市役所 佐々木氏)。

「今回はコロナ禍の緊急事態宣言下で予定を立てることが難しかったのだと思いますが、中学校では年間で授業計画を立てていきますので、早めにスケジュールがわかるとありがたいですね。理想は年度当初、できるだけ早めにわかれば、より多くのプログラミング教室に参加できると思います」(中央中学校 重清氏)。

「プログラミング教室の内容としてはこれで良いのかもしれません。ですが子供たちが実際に見て、紹介したいなと感じた点を案内にしてもらえると、お客様も、プログラミングする子供たちも、もっと興味を持ってくれるのかなと感じました」(旭山動物園 境氏)。

GIGAスクール構想によって、小・中学生がプログラミングに触れる機会は増えた。今後求められるのは、プログラムそのものを学ぶだけではなく、日常でプログラミング的思考を体験するような取り組みだろう。

施設紹介は社会、動物紹介は理科の授業ともいえる。自治体と学校、地域社会、そして通信会社が手を取り合って実現した今回の取り組みは、教科横断型のプログラミング学習として発展していく可能性を秘めていそうだ。

「そのためにも、ICTパークの周知をより進めていきたいと考えています。ICTパークではプログラミング教室のほか、eスポーツを核とした賑わいづくりにも積極的に取り組んでいます。元映画館を改修し、大画面のLEDモニターを常設している劇場型のeスポーツ競技場『コクゲキ』や、高性能ゲーミングPCでeスポーツの練習を行うことができるトレーニングジムもあります。今後は『ICTパークに来たからこそ体験できる』というコンテンツを増やしていきたいですね。まずは気軽に一度、ICTパークを体験して欲しいと思います」(旭川市役所 佐々木氏)。

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