ひさびさ「リアル」イベントで中学生にオリンピックの価値を伝える/伊藤華英(日刊スポーツ) – Yahoo!ニュース – Yahoo!ニュース

ひさびさ「リアル」イベントで中学生にオリンピックの価値を伝える/伊藤華英(日刊スポーツ)-–-yahoo!ニュース-–-yahoo!ニュース 基本問題

日刊スポーツ

先日、本当に久しぶりにJOCが主催する”リアル”のイベント「オリンピック・ムーブメント事業」に参加した。イベントとしては「オリンピック・デーラン」「オリンピアン研修会」などがあるが、私は今回「オリンピック教室」を担当した。

【写真】北京、ロンドン五輪競泳代表の伊藤華英さん

オリンピック・ムーブメントってどんなもの?と感じる人も多いと思う。端的にいうと、オリンピズム(オリンピック精神/オリンピックのあるべき姿)を世界中の多くの方に知ってもらい、広げていく活動だ。オリンピズムとは、「スポーツを通してこころと身体を健全にし、さらに文化・国籍といったさまざまな違いを超え、友情や連帯感、フェアプレーの精神をもって互いを理解し合うことで、平和でよりよい世界の実現に貢献する」ということであると、JOCの公式サイトにも記載がある。

実は、今年行われた東京2020大会もこのオリンピック・ムーブメント活動の1つであるのだ。オリンピックの根底にあるのがこの精神と言える。つまり、勝敗を分ける厳しい世界の中でもお互いを理解したり、認めあったり、自身を高めていくことが重要であるということ伝えるために、夏、冬とオリンピックが行われているのだ。そのオリンピックの価値というのも、世界中のアスリートたちがオリンピック・ムーブメントを行う際に伝えている。それが「Excellence, Friendship, Respect」=「卓越、友情、敬意/尊重」だ。

私が今回参加した「オリンピック教室」は中学2年生を対象とする。私の教室は、このオリンピックの価値が1人1人の生活の中にあるかワークショップで考えてみようという内容だ。現在の学習指導要領では、中学校「保健体育/体育分野」や、高等学校「科目/体育」における体育理論の領域でも、文化としてのスポーツやオリンピック・ムーブメントの意義が示されている。中学生は3年生でその授業を受けるのだが、ここで2年生が対象となっているのは翌年へのきっかけ作りとの意味がある。また実技では種をまき、座学で実を結ぶという狙いがある。

他のアスリートの方の授業を拝見したことが何度もあるが、皆さんの授業はとても心に響くものだ。私は久々の「リアル」現場でもあり、中学生という若い世代と直に触れ合うことに緊張もしたが、生徒たちがとても元気で、リーダーシップをとる生徒もいて、にぎやかで活気のある時間になった。

オリンピック教室は運動と座学の2部構成で行う。きっと急に座学に入るよりも、運動というスポーツを通してのコミュニケーションがあることが、いい授業につながっていると感じる。

「スポーツは言語だ」とよく聞くが、まさにそうだ。先日も東京2020大会にボランティアなどで関わった方とのワークショップが品川区主催であり、「他国の方との交流で、何語かわからないけど一緒にボッチャをして言葉がわからないけどとても楽しかった」との発言があった。やっぱりスポーツは言語だなぁとうれしくなった。なんといっても、若い世代には「体験/経験する」というのが必要だと私は感じている。体感するといっていいかもしれない。

私も小学生のとき、オリンピック選手が自分が通うプールで泳いだ時の映像を、その選手が泳いだコースまで覚えている。当時のトップアスリートのことは覚えていないが、その選手のことは覚えているのだ。

授業を受けた学生たちが、このオリンピック教室を含むさまざまなオリンピック・ムーブメントでの経験、体験を通して、自分の将来や今を考えられるきっかけになることを願っている。オンライン/オフラインのハイブリッドを駆使しながら、体験/経験を子供たちに提供していきたいと感じた。(伊藤華英=北京、ロンドン五輪競泳代表)

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