ステップ Research Memo(3):質の高い学習指導に定評、神奈川県内の公立トップ高校で圧倒的な合格実績(2) 投稿日時: 2021/12/20 16:03[フィスコ] – みんなの株式

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■会社概要

2. ステップの特徴と強み

同社の特徴と強みは、「教師のプロ化による質の高い学習指導」「ドミナント展開と口コミ情報による効率的なマーケティング戦略」「高い収益性・安定性」に集約することができる。

(1) 教師のプロ化による質の高い学習指導

同社は「教師は学習指導のプロでなければならない」という考え方のもと、教師を正社員化し、授業内容の専門化・高技術化に努め、その学習指導力によって高い進学実績を積み上げていくことを成長基盤としてきた。2021年10月末時点における全教師数690名のうち正社員教師は660名で、そのほか専任講師23名、非常勤講師7名(うち3名は中学部の英語科ネイティブ講師)の構成となっており、正社員比率で95.7%に達するなど、ほぼ100%がプロの教師と呼べる指導体制となっている。同業他社では大学生や大学院生などアルバイト講師を採用しているケースも多いが、同社は個別指導部門を除き、学生アルバイトは一切採用していない。また、教師が生徒獲得のための勧誘活動(電話勧誘やポスティングなど)を行うこともなく、学習指導に専念できる体制を整えていることも特徴となっている。

各教師においては「日々指導技術の研鑽を怠らず、一人ひとりの生徒と向き合い、学力向上に真摯に取り組んでいく」ことを基本方針として、研修活動なども定期的に行いながらスキルアップに努めている。具体的には、新人・2年目研修を毎週水曜日に4時間実施しているほか、地域別研修を毎週金曜日に2時間半、必要に応じてフォローアップ研修を毎週火曜日に2時間実施し、教務力の向上に努めている。

こうした教師のプロ化による質の高い学習指導によって、2021年春の高校入試では神奈川県内の公立高校トップ19校で2,192名(前年比9名増)の合格者を輩出、うち15校(前年15校)で塾別の最多合格者数を出している。県内公立高校に進学した「STEP」生徒のうち、42.9%がトップ校に合格したことになる。また、県内特有の試験制度となる特色検査※(記述型)を実施した19校のうち15校(同15校)で塾別最多合格者数を出すなど、特色検査対策でも圧倒的な実績を誇り、神奈川県内の公立トップ校を目指す学習塾としてのブランド力がさらに強固なものとなっている。学習指導の質の高さもさることながら、過去の入試問題の分析・対策能力や適確な進学指導力なども高い合格実績につながっている。県内の競合大手としては、臨海セミナー、湘南ゼミナールなどがあるが、いずれも公立トップ19校の合格者数では、同社の半分以下の水準となっている。さらに、「STEP」生徒の通学圏内で男女共学校として最難関と位置付けられる東京学芸大学附属高校(国立)の合格実績でも、正規合格者が91名(外部進学生。同校の正規合格者総数221名のうち41.2%)と、同社によると13年連続で全塾中トップの合格者を出している。

※特色検査:神奈川県公立高校入試において、共通試験や面接とは別に行う学力検査のこと。主に進学校が導入しており、試験内容は、問題を解決する粘り強い思考力等を把握するための記述型中心の試験。

一方、現役高校生向けの高校生部門に関しても、難関大学の合格者実績が2021年は大幅に増加した。国公立大学への合格者数が270名(前年比74名増)、早慶上智大学が438名(同182名増)、MARCH及び東京理科大学の合格者数が1,462名(同314名増)で、延べ合計2,170名(同570名増)と大幅に増加し、東京大学合格者数も10名と過去最高を更新した。この躍進の要因について、同社は複数の要因が重なったと見ている。第一に、2021年は大学入試制度改革の初年度に当たるため、前年の受験生が現役合格重視で受験を行ったことで2021年は浪人生の受験者数が減少したこと、またコロナ禍で地方から首都圏の大学に進学を志望する学生が減少し、首都圏の現役高校生にとっては競争環境面で有利に働いたことが挙げられる。第二に、「STEP」生徒は学校のクラブ活動も行いながら大学受験を目指す公立高校生が多く、必然的に受験対策はクラブ活動を引退する高校3年生の夏以降に始めるケースが多いが、今回はコロナ禍においてクラブ活動が制限された結果、受験対策に取り組む時期が早まった。同社はいち早くオンライン授業の態勢を整えたことから、コロナ禍による大きなダメージを受けることなく学力を向上させることができ、高い合格実績につながったと見ている。

また、チューター制度が有効に機能したことも要因と考えられる。チューターとは、高校生の学習や進路、悩みなどの相談を受け、個々人に合わせた学習計画や合理的な受験作戦を提案するなど的確なアドバイスを行うスタッフである。同社では高校部の各校舎に専任のチューターを1校当たり2~6名配属している。コロナ禍で学校が2020年4月~5月は休校となり、受験への不安が高まるなかでチューターの果たした役割は例年以上に大きかったと思われる。同社はチューターの機能を、小中学生部門の校舎でも導入し始めており、校舎で窓口業務とチューターの機能を果たすスクールキャストと呼ばれる正社員スタッフを増員している。

(2) ドミナント展開と口コミ情報による効率的なマーケティング戦略

同社は県内の湘南地区や中西部において既に揺るぎないブランド力と業界シェアを確立しており、また、横浜市内でも着実にスクール数を増やし生徒数の獲得を進めるなか、今後は横浜市内での着実な展開に加えて今まで手薄だった川崎市での新規開校に注力していく方針を打ち出している。教室の展開は、地域集中型のドミナント戦略を基本としている。また、生徒の募集活動に関して過大な広告宣伝費をかけずに、生徒やその保護者による口コミ情報を基本に据えていることが特徴の1つとなっている(一部折込みチラシを活用)。このため、同社の広告宣伝費率(対売上比)は1%台と業界平均を大きく下回っている。ここ最近では定員数に達して募集を打ち切るスクールも増えてきており、広告宣伝費の削減にもつながっている。これらは同社の教育サービスに対する生徒・保護者からの高い評価の反映とも言える。

(3) 高い収益性・安定性

3つ目の特徴としては、業界のなかでも高い収益性を誇り、かつ抜群の収益安定性を兼ね備えていることが挙げられる。この要因としては、広告宣伝費率の低さに加えて、進学塾としての圧倒的なブランド力や高い顧客満足度により入塾を希望する生徒が多く、教室当たり平均生徒数が高水準で安定していること、校舎の開設も教師の育成に合わせて、年間で3~4校と無理のないペースで進めていること、事業を学習塾に特化しているため本社機能がスリム化されていること、などが挙げられる。2020年9月期はコロナ禍での授業料の返還や特別授業料の適用を行ったことで営業利益率が20%の水準を下回ったが、こうした施策を取ったことで逆に生徒や保護者からの信頼感が高まり、2021年9月期には生徒数の増加によって26.9%と過去最高を更新している。

また、顧客満足度の客観的評価として、2021年のオリコン顧客満足度(R)ランキングにおいて、「小学生 集団塾 首都圏」ランキングで6年連続1位、「高校受験 集団塾 首都圏」ランキングで5年連続1位、「大学受験 塾・予備校 現役 首都圏」ランキングで4年連続1位をそれぞれ獲得した。イード・アワード2021「塾」では、「中学生/集団指導の部 総合満足度」において3年連続で最優秀賞を獲得しており、実際に通塾する生徒や保護者から高い評価を受けていることが明らかとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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