教科担任制の教職員定数加配要求 閣僚折衝にもつれ込み – 教育新聞

花のつくりとはたらき

 大詰めを迎えている来年度予算案の編成作業について、文科省は12月17日、自民党文科部会に財務省との折衝状況を報告した。席上、高橋はるみ文科大臣政務官は「小学校高学年における教科担任制の推進が残された大きな課題となっている」と報告。来週、末松信介文科相が鈴木俊一財務相との事前閣僚折衝に臨むことを明らかにした。文科省は来年4月からの小学校高学年の教科担任制導入に合わせ、新規の加配定数として来年度に2000人、4年間で8800人の定数増を要求しており、公立小中学校の教職員定数を巡る予算攻防の最大の焦点となっている。

来年度予算案などを協議した自民党文科部会

 教職員の定数増が予算編成の閣僚折衝にもつれこむのは、40年ぶりの学級編制の見直しとして小学校全学年の35人学級を実現した前年度に続き、2年連続となる。自民党文科部会は最重点項目として、小学校高学年における教科担任制の推進に取り組むことで一致した。

 小学校高学年の教科担任制は、専門性の高い教科指導と、教員の持ちコマ数軽減など働き方改革の2つを目的に導入されるもので、外国語、理科、算数、体育の4教科を優先的に対象とする。文科省によると、小学校教員1人当たりの平均担当授業時数は週24コマ前後だが、4年後に8800人の加配定数を新たに確保できた場合、小学校5・6年生の担任教員の持ちコマ数は週5コマ程度減る計算となっている。来年度予算に要求している2000人の新規加配定数は4年計画の初年度分に当たるもので、同省は「専科指導ができる教員を自治体が計画的に確保できるように、段階的に加配定数を増やしていきたい」(初等中等教育局財務課)と説明している。

 これに対して、財務省は▽日本の小学校教員の年間授業時間数は、主要先進国の中では低水準▽小規模校の中学校教員は授業持ちコマ数が少なく、小中連携に活用できる▽小学校の担任間での授業交換や遠隔合同授業などによって教員の負担軽減につなげることができる--などと指摘して、加配定数の新規要求をできる限り圧縮したい考えだ。

2022(令和4)年度 文科省予算案の主な項目の折衝状況 ※12月17日現在

 これまでの予算折衝について、文科省は自民党文科部会の席上、「おおむね必要な額を確保しつつある」(高橋政務官)と説明。関係者によると、学校の働き方改革を進めるためのスクール・サポート・スタッフ、学習指導員、中学校の部活動指導員などの支援スタッフを充実させる予算として、前年度比17億円増の201億円を確保。いじめや不登校に対応するスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置充実では同5億円増の80億円を計上した=表参照

 学校のICT環境整備では、すでに今年度補正予算案に136億円を計上し、ネットワーク環境などに専門性の高い技術的な支援を行うGIGAスクール運営支援センター整備事業の年度内前倒しなどを進めている。これに加えて、来年度予算案では前年度比10億円増の14億円を確保した。

 学習者用デジタル教科書の普及促進については、2021年度に約4割程度の学校で少なくとも1教科分の実用化を行った。22年度には、全国全ての小学校と中学校に広げる計画で、このための予算として今年度補正予算案に65億円を計上。さらに来年度予算でも前年度比1億円増の23億円を盛り込んだ。

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