(※画像はイメージです/PIXTA)
中学受験専門カウンセラー安浪京子 × 教育ジャーナリストおおたとしまさ。中学受験で最難関校を目指している子の成績が急落することがあるという。解法を丸暗記して基礎が脆弱な、いわゆる「フェイク学力」です。丸暗記の勉強法はどのように変えたらいいのか、教育現場に詳しい2人はどう答えたでしょうか。
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偏差値が急落する「フェイク学力」とは
■低学年ほど好成績、やがて失速しやすい「フェイク学力」
おおた 小学校のテストで何点とれれば中学受験に「参戦」できるか――というテーマがありますが、目安としては、ほとんど100点で、たまに80点をとるくらいでないと上位校を目指すのは厳しいというのは現実だと思います。
安浪 80点とれないような子は中学受験をする資格がないかというと、それはちがうんじゃないの? というところもあると思いますけど。
おおた はい、その子の中学受験のあり方を理解してくれる人さえいれば、その子なりの中学受験の伸び方ができるはず。「うちの子は後で化けるかもしれないから、高校受験を選んだほうがいい」と言うこともあるけれど、そうなるとも限らない。普通の公立中学に行っていたらもっと大変だったかもしれない、というケースもあります。
中学受験するか、高校受験するかは、結果的にどちらが偏差値の高い高校に入れるのかという価値観に落とし込まれやすいけれど、「子どもに合った学校に入れればいい」という受験をするのであれば、どちらにしてもやり方はあると僕はとらえています。
安浪 子どもの学力が伸びる時期もまちまちで、4年生あたりは学力をはかるのが難しい時期ですからね。さらに、子どもの学力やポテンシャルをテストの点数だけではかることが難しいのも事実です。
「うちの子、算数ができないんです」とG君のご両親に相談されたのは5年生の春。算数の偏差値は40でした。実際にG君を指導してみると、考え方の道筋を示されれば「あ、そういうことか」と自力で解き進めていき、「こういうふうにも考えられるよね」と別解をどんどん見つけ、自分の言葉で説明してくれます。「テストの偏差値はたしかに40だけど、実際は60近いポテンシャルがある」という手ごたえどおり、最終的に難関校を受験するまでに至りました。
一方、最難関校を目指しているMちゃんは5年生の終わり頃まで偏差値が60近くありましたが、解法を丸暗記して基礎が脆弱な、いわゆる「フェイク学力」。6年生の内容はどんどん高度になるし、暗記で太刀打ちできなくなるよとさんざん伝えましたが、勉強の仕方を変えないままどんどん成績が下がっていき、最終的に偏差値50台前半に落ち着きました。
おおた Mちゃんは6年生になってどんどん成績が下がっていったということですが、たぶんMちゃんは丸暗記の勉強法をするしかない子だったんでしょうね。Mちゃんは、中学受験で難関校に入るような学力をつける勉強スタイルには向いていない子だったんだろうなと思う。そういう個性をもともと持っていた。それはそれでいいと思います。
安浪 真面目で黙々と勉強するタイプですね。
おおた そう、真面目だからこそ、一生懸命、目先の点数をとることをがんばって、それが裏目に出ちゃった。スタートだけはよくて途中で失速するランナーのようだけど、そういう子には、そういう子の人生の歩み方があると思う。大学入試では推薦を狙いやすとかね。つまり、Mちゃんはダメな子かというとそんなことはなくて、それだけで人の価値は判断できないよ、と付け加えたいですね。
安浪 このMちゃんみたいな子はけっこう多くて……。実は、こういう子ほど、しっかりと丁寧に教えればちゃんとできるんです。勉強のやり方を知らないんです。丸暗記することが勉強だと思っているから。だから、プロをつけて基本からやり直すとか、塾でいい先生に出会うといった「ちがう勉強のやり方」を教えてもらうことがカギになるんです。
おおた なるほど。僕はどんな勉強法をしていても、それを1つの個性と認めるといった話をしましたが、でも一方で、単に勉強法を知らないだけかもしれない。指導さえ受ければ変わるかもしれない、と。
安浪 変わるんです、こういう子たちは。
おおた このMちゃんの勉強法が個性ではなくて、親が目先の点数をとらせることに一生懸命になっているから子どもがそうせざるを得なくなっているとしたら、たしかにそれは不幸だと思います。
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