【入試ルポ】千葉で第1志望入試、コロナ禍2年目の激戦…光英ヴェリタス – 読売新聞

【入試ルポ】千葉で第1志望入試、コロナ禍2年目の激戦…光英ヴェリタス-–-読売新聞 教育関連ニュース

 首都圏の私立中学入試のトップを切って12月1日、千葉県の17校で2022年度募集の第1志望入試や推薦入試などが行われた。松戸市の光英VERITAS中学校・高等学校でも、「第1志望入試」が行われ、20人の募集枠に対して70人が受験して志願倍率は3.5倍の激戦となった。この日の入試風景をリポートし、大野正文副校長に同校の教育理念や同校が求める生徒像などを聞いた。

大雨の朝、受験生たちが次々到着

 この日の首都圏は、早朝から台風のような強い吹き降りに見舞われた。最寄りの北総鉄道「秋山駅」から徒歩で光英ヴェリタスに向かうと、あちこちで道路が冠水していて、遠回りしなければならなかったため、通常なら10分ほどの道のりに倍近い時間がかかった。

 正面玄関前には例年、塾の関係者たちが大勢詰めかけて受験生に最後のエールを送っているが、「密」になりがちであるため、新型コロナウイルス感染への配慮で今年も自粛されていた。

 一時は大雨の影響が心配されたが、午前7時半頃に雨足が弱まってくると、保護者と受験生が次々と到着し、学校職員の指示に従って検温と手指の消毒を済ませると静かに控え室に移動していった。

 控え室では受験生が、教科書やノートを開いたり、必要な筆記用具がそろっているかをチェックしたりして、最後の確認に余念がなかった。緊張して表情の硬い子供に保護者がやさしく声をかけ、リラックスさせようとしている姿も見られた。

 午前8時になると、職員に促されて受験生たちは試験教室に移動した。試験会場は全部で四つ。いずれもソーシャルディスタンスを意識して定員50人の教室に、間隔を空けて25席の机を配置していた。試験監督による注意事項の説明が終わり、「実力が発揮できるよう頑張りましょう」と声がかかると、教室は張り詰めたような緊張感に包まれた。やはり、大雨の影響か注意事項の説明に遅れて参加する受験生も数人いたが、集合時間の8時15分には着席し、1時間目の国語の試験は予定どおり8時35分から始まった。

説明会参加者も受験者も増加

定員50人の教室に25席の机が間隔を空けて配置されていた
定員50人の教室に25席の机が間隔を空けて配置されていた

 この日の試験は同校への入学を必須条件とする「第1志望入試」で、試験科目は国算の2科(いずれも100点50分)か、国算社理の4科(社理のみ60点30分)かで、いずれも面接が行われる。この日の試験は、募集人員20人に対して昨年度より20人多い70人が受験した。内訳は「2科」入試に39人、「4科」入試に31人で、どちらも昨年度より受験者数が増えている。

 大手学習塾「サピックス」教育事業本部の広野雅明本部長によると、同校は昨年度の校名変更と共学化を機に、受験生の間で人気が高まっているという。大野副校長によると、コロナ下にもかかわらず今年度の学校説明会にも例年以上の保護者が来校しており、参加者の総数は昨年度の275人に対し、そのほぼ倍にあたる約560人になったとのことだ。

 また、今年の千葉県の入試動向について広野本部長はこう分析する。「千葉の私立各校は、大学進学実績が良好かつコロナ下でのオンライン授業が充実していたこともあり、進学先の候補としてお考えの方が増えていると思います。特に校地が広く、施設も充実した学校が多いため、コロナ下での進学先として安心できるようです」

 ちなみに同校では今年、野球部が創設され、今夏の甲子園予選千葉県大会に初出場して3時間超の激戦の末、初勝利を収めている。24人の部員は、広く充実した練習場で午後6時まで練習し、多くは学校内に用意された自習室で1時間ほど勉強してから帰宅するという。大野副校長は「練習時間が少なくても、工夫次第では厳しい高校野球の世界に実績を残せるし、勉強も頑張れるということを示したい」と話す。まさに千葉県の恵まれた学習環境を生かした文武両道の取り組みと言えそうだ。

探究心を深め課題解決力を養う

「先生と一緒に学ぶ意欲あふれた生徒に数多く入学してもらいたい」と受験生にメッセージを送る大野副校長
「先生と一緒に学ぶ意欲あふれた生徒に数多く入学してもらいたい」と受験生にメッセージを送る大野副校長

 同校では、今の中学1年生が高校を卒業する6年後の合格目標として、国公立大30人以上、難関私立大100人以上という目標を掲げ、英語や理数科目の教育を充実させるとともに、タブレット端末を使ったICT教育や、アクティブラーニング型授業の推進を図っている。その一方、女子校時代からの伝統として、中学1年から高校3年まで週1回の正課の授業として「小笠原流礼法」を学び、美しい作法を身に付けながら日本の文化に対する理解を深めている。

 広野本部長は「礼法などの情操教育にも力を入れている学校です。大学進学だけでなく文武両道で中高生活を送り、バランスよく、人間力を高めたいご家庭に人気があります」と言う。

 今年度の学校説明会では、情操教育と探究的な学びを中心とした教育方針の説明に多くの時間を割き、保護者からの質問も多くあったそうだ。大野副校長は、「熱心な保護者からの質問に、我が校のスクールポリシーが受け入れられていると感じました」と手応えを語る。「礼法で学ぶ『相手の考えを尊重する考えかた』は、知識だけではなく相手の行動をよく観察して自分の行動を決めるという学びの姿勢につながります。中学入試でも、このように粘り強く取り組んで物事を解決していける人かどうかを見極めたいと思っています」

 入学後の授業では、「自分で設定したテーマを自ら調べ、そこから見えてきた課題の解決策を探究してその結果を第三者に発表し、それまでの過程を振り返る」という探究的な学びのプロセスをすべての教科に取り入れている。この作業を繰り返すことで、生徒が自分で考え、答えを導き出す力を養うことを目指すのだという。

 試験は昼過ぎに予定どおりに終了した。最終的に今年度の「第1志望入試」では、受験生の増加に伴って54人が合格となり、実質倍率は1.3倍という結果となった。大野副校長は「光英ヴェリタスは生徒と教員が一緒に考え、学びながら成長していける学校だと自負しています。先生と一緒に学ぶ意欲あふれた生徒に数多く入学してもらいたいですね」と、来春入学予定の生徒たちにメッセージを送った。

 (文:江澤岳史 写真:中学受験サポート)

 光英VERITAS中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方は
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